中の下アイアンマンの作り方

IRONMANがみんな凄いわけじゃ無い!中の下トライリーマンがちゃっかりIRONMANを目指すブログ

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初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.3: バイク

<”初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.2 :スイム”の続き>

遂に本番!! 中の下IRONMANは完成したのか?!

2023年6月18日

遂にやってきた中の下的夢の大舞台。

7年越しの挑戦となった

『Cairns Airport IRONMAN Cairns 2023』!

 

引き続き致命的な遅筆ブログですが、レース当日の<バイク>パートの報告です!

 

トランジション

目標より8分遅れてスイムアップ!

 

T1入口のシャワーで軽く塩分を流したら、バイクバッグを回収して着替えテントに向かいます。

夜の間に雨の予報があった為、中身はビニール袋に入れている選手も…

Cairnsでは多くの海外選手が”バイクのウェア”でバイクパートを走っていた様に思いますが、中の下はトライスーツ1着で完結なので着替えは無し。でも、実は足が快適でないとダメなタイプでして、芝生や砂のチクチクなどはもうホント気になって気になって仕方がない…。

砂浜と着替えテント内で拾った砂や芝生を、時間をかけてできるだけしっかりと、次の7〜8時間は違和感無く競技に集中できるな〜ってところまで足がキレイにして、靴擦れとかもまっぴら御免なので厚手の靴下を履いて、事前にしっかりと履き込んだ古いバイクシューズを履きます。← こう言うとこだけ変に神経質

 

アミノバイタルの赤をぎゅぎゅっと吸引してテントを出ると、バイクラックで唯一全く水分が搭載されていないバイクが待っていました。

 

「…いいのか、コレ?

 

今更どうしようもないのでヘルメットを被ってマウントエリアに向かいます。

空のボトルケージx2と空のトーピードでスタート
カメラマンに親指立てて笑ってる場合じゃない

 

↑この辺りの給水ポイントで100cc程の水を飲んだけど、いくらなんでも足りないはず…。

出発前最後の給水チャンス。更に水をもらってトーピードに入れようとするけど、給水口のリッドを外さないとうまく流し込めない…

 

「ああもうメンどい、行こ行こ…(投槍)」

 

残りの水もガッと飲み干して進みます。

足の芝生はきれいに落としても、まともに水も確保しない始末…。

今思えばなんて不用意な判断…。これは、ダメですね。

 

当初の予定よりドリンクの分だけ軽量のバイクで180Kmの自転車の旅が始まりました。

 

トラブルは、続く…

例の如く、「踏まない踏まない…」と念じながらのバイクパートの始まりです。

「最初にハイウェイに出たら右折して北上、一周約70Kmのコースを2ラップした後に南下してT2に向かう変則コース。」

 

…と、おぼえていたのですが、ハイウェイに出るといきなりシティ方面に左折して南下させられました。

 

あれ?周回方向間違ってたか??

 

…なんて思いながらゆるやかな下りのハイウェイをちょっと走ったところで、ボランティアのヒゲのオージーがコース脇からボクを指差して

「IRONMAN!? Hey, IRONMAN?!」

 「アイアンマンか!? おい、アイアンマンなのか?」

とでかい声で叫んでいます。こちらも速度がのっていたので反応仕切れずにそこはシュバっと通過。でも、その1〜2秒後にまた別の少しワイルドな感じのオージー男性がDHポジションのボクの顔を覗き込む様にして、必死に並走しながら、

「IRONMAN?! Are you IRONMAN?!?!」

 「アイアンマンか? あんたアイアンマンなのか?!?!」

と叫んできます…。

 

…なんだコレは?

 

もしかしてこの辺りのおじさん達は

「お前IRONMANだろ!?(もっとスゴいとこ見せろや!!)」

と、煽り気味に応援する文化があるのだろうか??

 

そう思って、

「Yeah, I AM (AN IRONMAN)!」

 「あぁ、そうさ!(オレがアイアンマンだ!)」

と追い抜きざまにニヒル顔で返事をすると、

 

「そっちじゃねぇ!!

 IRONMANはあそこでU-ターンだっ!!

…という必死の叫び声がわずかにドップラー効果をともなって聞こえてきました。

ここ

チッ…、確かに短く南下してすぐ北上してやがる。

この部分を見落としていたか…。← ニヒル継続中

 

で、なんか知らんけどコース上のU-ターンのサインまで見過ごした様です。

完全なミスコース。下手すりゃDSQ(失格)なのにカッコつけてる場合じゃない。

 

IRONMANディスタンスはまずこのU-ターンを最南端とする周回コースを2ラップしてから、ここを直進してシティーへ南下します。

ボランティアのお二人は、(1ラップ目を終えた70.3の選手は全員ここを直進(南下)してシティーへ向かうけど)お前はIRONMANディスタンスだろ?ここでU-ターンしなきゃダメだ!と親切心で教えてくれていたのです。

 

忘れ物に判断ミスにミスコース…。今思えば色々と冷静さを欠いていた様に思います。

ちなみに、ボランティアさんは顔を覗き込んでいたのではなくヘルメット前面のゼッケンの色でカテゴリーを確認していた様です。

 

沿道には観客やボランティアの他、選手もたくさん…。

恥ずかしかった。穴があったらエンターでした。

 

慌てて、来た道を戻ります。

 

近くにいたオフィシャルに「乗車したまま戻ってコース復帰していいか?」と確認して、コーンでクローズされている反対側の車線を使ってU-ターンポイントまで戻ります。

 

戻りながら、二人のボランティアさんに

「通過するとこだった!ありがとう!!」

…とお礼を言い、TOにも手を挙げて挨拶をして、安全を確認しながらコースに復帰しました。

 

最初の給水まで

中の下的砂漠のオアシス”第一エイド”はまだまだ先でしたがバイクパートで突っ込む気なんて全く無く、ならば20Kmくらいなら無給水でも大丈夫だと心の片隅で思ってました。

ところが、気づけば天気はピーカン。コースも予想以上にアップダウンが激しい…。そもそもここは高温多湿の熱帯雨林気候。DHバーを握ったままではシンドい登り坂に来た時に「マズイかも…」と思いました。

まさに”ローリング・ヒル”のバイクコース
低いとはいえ山越えもちゃんとある

 

とりあえず、ペダルを回しながら頭の中でエイドのリハーサルです。

 

Cairnsのエイドは定型レイアウトで、補給・給水の順番の他、フードやジェルの有無のバラツキもあまりなかった様に思います。

IMケアンズのバイクエイドの定型レイアウト

エイドの基本の流れは、

①捨てる:空のボトルやゴミをRUBBISHで投げ捨てる(最初は無し)

②もらう:ドリンクやジェルをもらう

③捨てる:その場でゴミが出たら、またRUBBISHエリアで捨てて先に進む

ちなみに、RUBBISHエリア以外で故意にゴミを捨てると大きなペナルティーが課されます。

 

スペシャルドリンク戦略がスタート前に破綻したので、トーピードと二つのボトルケージと、ジェル補給の戦略はぶっつけで考え直す必要がありました。

もはや、各エイドで忘れ物はNGです。最悪の場合は「とりあえずもらう」作戦で行くことに決めました。

 

気温と一緒に体温も上昇していたと思いますが、体調はとても良かったです。暑すぎなかったのもあるし、なによりIM Cairnsを走っている事自体が嬉しく、少し興奮気味だったのかも?

 

緩やかな登りの直線道路の先にたくさんのボランティア達と一緒に第一エイドが見えてきた時は、まさに”砂漠でオアシス”でした。喉は乾いてたけど、パフォーマンスが落ちる事は無かったと思います。

 

後からGarminのデータで計算したら、T1からここまで36分程度。

平均速度=29.7Km/h。

おさえていたつもりだけど、これでも速い方。入りとしては中の下的には上等です。

 

捨てるボトルもゴミもないので、まずはドリンクに一直線。

笑顔で親切なボランティアさんから思ってたより少し長めのボトルを受け取って、最初にトーピードに給水。中身はゲータレードのレモン味で、個人的には飲みやすい味かな。

少し残った分をがぶ飲みしながらもう一本ボトルをもらって、それをボトルケージに。掛け水ボトルは、その場でたっぷりカラダにかけたらもう十分といった感じだったので、もう一個のケージは空のままにしました。

 

ジェルは、モルテンの白と黒を合計4本もらいました。

こいつら、なにげに高額ニュートリションだった

後日、Amazon.co.jpで調べたらコレ一本1000円以上。

 

オレのランチ代超えとる?!

 

この時はまだ値段はおろか黒と白の違いさえ知らない未知のニュートリションでしたが、とりあえず背中のポケットに押し込んでボランティアさん達にお礼を言って無事に第一エイドから出発です。

 

2022年 人気No.1のコース

水分とカロリーを手に入れた途端にものスゴく気持ちが楽になりました。

まだ160Kmあるバイクレッグですが、快調に海辺のローリングヒルを流しました。

 

時折DHバーから上ハンに持ち替えて見渡すと、グレート・バリアリーフをのぞむ海岸線を走るバイクコースは脳内が幸せホルモンでビッシャビシャになる美しさ!!

Cairnsが2022年の人気No.1のレースに選ばれた理由がよくわかります。

 

「うぁ〜、すっげぇ〜〜〜っ…

自然に感動の声が漏れました。気づいた周りの選手らもDHバーから体を起こして海の方を見渡してます。まさに、”レース”が”旅”になる瞬間。

自然がいっぱいの南国リゾート
そこのハイウェイをレースで独占使用する贅沢さ

もうそこを走っている事自体が楽しくて嬉しくて仕方がない…。レースも大事だけど「こりゃ楽しまなきゃ損だわ。」と思わせる魅力がCairnsのバイクコースにはありました。佐渡とかもそうでしたが、こういうマインドでのぞめるレースってパフォーマンスが上がります。だからレースが楽しくなるし、それがIMともなれば自然に世界的に人気になるのもうなずけます。

 

ちなみに、海外レースのバイクコースは時々その舗装の悪さが話題になりますがCairnsのこのハイウェイに関して言うと”問題無し”でした。多少荒れた部分があっても、「このくらいなら日本の道路にも時々あるな…」程度だったと思います。

 

頑張らないを頑張った180Km

この美しいローリング・ヒルのコースを往復する2周回はとにかく好調でした。

嫌な風もあまり無く日差しも想定内だったのでヤバい消耗の仕方をせずに済んだと思います。でも、2周目が終わる頃にはだいぶ疲労も溜まってなんとなく左スネの上の方に痛みが出ていたのでエイド毎にたっぷり水をかけながら進みました。

 

エイドではモルテンを2本ずつもらっていましたが、このモルテン君、やや固めに作ったフルーチェみたいなジェル感が飲みやすかったです。しかも、なんだか”効いてる感じ”がしたのですが、ボランティアさんから白がカフェイン入りと教えてもらって「あぁ、あれはカフェインの効果だったのか」と、カフェイン中毒気味の中の下は納得でした。

 

唯一、難点を挙げるとモルテンのパウチはアルミです。

歯で噛み締めて中身を絞り出すと歯がきぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜ん!となります。それ以外は「こりゃリピ確実」と思える商品…だったのは、値段を知る前の話ですw

 

さて、「頑張らない…」の本題にもどります…

中の下トライアスリートはそもそもスピードもパワーも大して無いが故にバイクもランも平均より遅いです。特に、最後のランは足が残っていないとその遅さに拍車がかかります。

 

中の下のフルマラソンのベストは4時間22分…だったかな?ギリギリ、サブ4.5。

ラソンだけしか走らなくても下手すりゃ5時間近くかかるのに、バイクで足を削るとDNF (TOV)のリスクが高まります。だから、ロングのバイクパートはDHバーを握りながら「踏まない…踏まない…、脚を残す!」と、声に出して自分に言い聞かせながら走るガマン大会です。

 

周回コースの2周目が終わると40Km弱の真っ直ぐで平らなハイウェイをCairns シティーに向けて南下するのですが、実は例年ここがクセモノなのだとか…。

 

サム酒井さんの解説によると、

IM Cairns名物の風が厄介なのだと。

 

当日の気象情報を妻が記録してありました。

注目は「風向」と「最大瞬間風速」

 

↑この気象情報は早朝のもので、午後は概ね南東の風に変わります。

コースに南東の風を矢印で表すと下の通り…

バイク最後の平坦直線区間は、完全向かい風

どフラットで、本来なら淡々とイーブンペースで巡航できる区間のハズなのに6月のCairnsでは時速10Km以上の風が真正面からずっと吹いてるそうです。

 

実際のところ、風除けの無いひらけたハイウェイの直線はずっと風が吹いていて、パワーの無い中の下レベルだと気を抜くと減速しちゃう時はありました。そろそろ首の後ろもしんどくなってくる頃にDHバーに張り付き続けないとならないのは辛かったです。

40Kmにも満たない距離がやけに長く感じたし、折角の平坦路なのに気持ち良く巡航できないので、気持ち的にも体力的にも大変でした。

 

折角残しておいた脚でしたが、まんまとこの区間でいい感じに削る結果に…。

 

応援との一体感が…

ハイウェイからシティーエリアに入ると、周辺の建物のおかげで急に走りやすくなります。そこからIM Cairnsのメイン会場であるフォガティーパークまではあっという間。ホテルが立ち並ぶエリアまでくると、徐々にコース両側が人混みで賑やかになってゆきます。

この辺りから一気にお祭りムードがUp!

T2までもう1キロというところまで来ればもうとにかくすごい人、ひと、ヒト!で、スゴいのが、みんなIRONMANを観戦するのが目的でコース沿いに仲間と陣取って、通り過ぎる選手達を分け隔てなく応援しまくってます。

 

ちょうど良い写真がないのでIRONMAN OCEANIAからイメージを拝借…

参考写真: IRONMAN OCEANIAより過去のCairnsのイメージを拝借しました

コスプレしてる人やカウベルを鳴らしまくる人、家族連れに酔っ払い、近所の人は犬と一緒にコース脇まできて盛大な応援を送ってレースを楽しんでます。コースに面したCairns名物のカフェも全て大賑わいで、町中が完全にお祭会場!走ってるこっちも嬉しくなってしまい、思わず笑顔で手を振りながら走ってしまう様な独特の、なんと言うかもうサイコー!な空気感です。

 

気分のブチ上がる初IRONMANの空気を楽しみながら、T2の準備…。

まず、向かい風のハイウェイでかなり足を使ったので足攣りが心配でした。T2に近づいてきたらもう楽にゆっくり回したり少し漕いだら惰性で走りながら両足の裏側や腰を伸ばしたり、少しでも足の血流を促して足をリセット(?)しようとしていました。

 

T2手前はランのコースとかなりの区間並走しています。もうたくさんの選手が既にランに入っているのが見えて、少し気持ちが焦りました。

 

バイクパート完走!

ディスマウントライン!

なんだろう…、また一つパートをクリアできるのが嬉しいのと同時に、一番大変なランが始まる恐怖が入り混じった不思議な気持ちでライン手前でうまくバイクを降りると、iPhoneを構えて待っていた妻の声が…。

妻「すごいじゃん!予定通り!」
中の下「お〜っ!なんとか帰ってこれたよ〜!」

フタを開けてみればここまではほぼ事前に妻に伝えてあった予想タイム通りに来れたので、妻曰く「すごいじゃん!予定通り!」。

レースは生き物で、いつでも思った通りの時間に帰って来れるなら悩み事はありません。彼女も、いままで色んなレースの帯同でうんざりする程待たされて来ているので、きっと時間通りの登場に驚きながらも喜んでもらえたんじゃないかと…。

 

T2のバイクラッキングはボランティアさんがやってくれます。選手はバイクを渡したらランバッグを拾ってテントに直行です。

ボランティアの子供達がバイクを受け取って決められたラックまで運んでくれます。

 

テント手前で前日に自分の番号のフックに掛けたランバッグをピックアップ。

IRONMANディスタンスの選手のランバッグのラック(撮影は前日)

朝からずっとペダルを回す運動しかしてこなかった足が地面に立った瞬間に攣ってしまった経験が何度かあるので、ゆっくり探る様に歩きながらテントに向かいました。ブリックランをやり込むとこの辺りは改善するものなのだろうか??

 

バイクパート = 6時間53分42秒

 

予想タイムとレースプランでは、「足を残して7時間」。足は微妙だけど、いくつかのトラブルを乗り越えて6分早く到着できたのは、自分としては上出来!!

リザルトを分析すると各バイクCPの平均順位は721位。スイムアップ時に845位だったのでなんと124人抜いた事に!!

 

これは中の下としてはナカナカでしょう!

スペシャルドリンクじゃなく、モルテンがよかったのか?!w

 

しかし、次は一番苦手なマラソン

多かれ少なかれ必ず苦しむ事は想定してるけど、なによりまだ明るい時間帯にここまでこれた事がなんだか気持ちを楽にしていました。

 

前年の佐渡Aではランに入って数分で体調が一気に崩れてDNFしちゃいましたが、ここからが中の下的本番!!時間はたっぷりあると思って、できるだけ冷静にランの支度を始めました。

 

<”初挑戦!! 『IRONMAN Cairns 2023』No.4: ラン”に続く>

chunoge.hatenablog.com