中の下アイアンマンの作り方

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初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.4: ラン

<”初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.3: バイクの続き>

 

あっぶねぇ〜!

危うく年を越すとこだった…!!

 

遂に本番!! 中の下IRONMANは完成したのか?!

2023年6月18日

中の下トライアスリートの7年越しの夢の大舞台、

『Cairns Airport IRONMAN Cairns 2023』!

 

ご存知、殺人的遅筆でお送りしてきたレースブログ。

引っ張り過ぎて”あの時の痛み”の記憶はもはや希薄ですが、ついに感動のフィナーレです!

 

 

全てはランを走り切るため…

T2の入り口でボランティアさんにバイクを託してランバッグを拾ったら、着替えテントに入っていい感じに日焼けした他の選手達に混ざってチャチャっと装備をラン用に切り替えました。

 

180Kmのバイクを終えてT2までのレース展開をまとめ:

・スイム=1:33:11 (目標タイム+8分)

・バイク=6:53:41 (目標タイムー6分)

二つのレッグのトータルで、目標タイム+2分。

 

この時点では「ほぼ目標通り」なのはわかってました。そして、その上手くやってこれてる事実がこの後のメンタルに大きくポジティブに影響したと思います。

 

コロナで予期せず追加の準備期間が与えられたのに「ランは半分以上歩きました…」と言うのは残念すぎる…。スイムとバイクは絶対に頑張り過ぎない様にしてきたけど、ここからは更に集中して失敗しないレースの仕上げです。

 

目標タイムは5時間30分

全てを出し切る覚悟でT2を出ました!

 

入りは慎重…

とはいえ、バイクの最後は向かい風の中アベレージ維持の為に脚を削りました。マラソンはベストでもサブ4.5。疲労や痛みで歩いちゃうとサブ6の可能性さえ…。ランに入ってすぐは脚が攣ってなかなか治らない事があるので、引き続き、慌てずコンディショニング・ウォークで脚の緊張をほぐしました。

T2からは歩いてスタート
出口で待っていた妻に「お待たせ〜!」

まずは悠然と戦略的ウォーキング!

300m以上歩いたかな…。

 

結果的にバイク上の補給は上出来だったので、T2では給水のみ。前年の佐渡AのT2では貪欲に補給食を頬張った結果、その直後にトラウマ的な腹痛を経験しました。身体がランを始める準備が整うまではなにも口にせず様子をみましたが、今考えると正解だったと思います。

 

ランのコースに出るとすぐに、Finishゲートへのレッド・カーペット入り口を横切ります。

オレンジ丸がレッドカーペット入り口
赤線が難解だけど動線はしっかりしてました

選手達はここを合計5回通過します。号砲から間もなく9時間…。速いエリート選手達はもうFinishゲート前の観客を盛り上げています。その賑わいを尻目に、自分の名前がIRONMANの称号と共にコールされる瞬間をぼんやりとイメージしながらゆっくりと走り始めました。

 

熱い応援とたくさんの笑顔

周回コースはメイン会場エリアを含む一周約10Km。コース両脇の賑わいはハンパなかったです!

 

とにかく、人、ひと、ヒト…。そもそもラン会場はCairnsの中心エリアなので、どこを走っていても必ず人がいて、応援や観戦を楽しむ声が聞こえてきます。

ついに通常開催となった2023年大会はこの小さな街が3年待ち望んでいたお祭り。パンデミックの揺り返し的な盛り上がりになっていたそうです。

そんな年に参戦できたのはラッキーでした!

 

その、お祭り騒ぎのIM Cairnsで嬉しかった事の一つが、レースナンバーに書かれたボクの名前を叫んで応援してくれる観客がたくさんいた事です。

全選手、レースナンバーに大きく好きな呼び名が印刷されてる

「Come on, AKIO!! Keep going!!」

AKIO! You are looking great!!」

「Almost there, AKIOーーー!!

…どこを走っていても、あちこちでこんな感じで応援してもらえます。

 

これ、海外のIRONMANではフツウらしいですね!

コース脇の観客や犬の散歩中のお年寄り、公園の地元の子供達、BBQ中の酔っ払い集団…、そこらじゅうでたくさんの人が選手の名前を友達の様に叫びながら応援してくれます。

最初は突然名前を呼ばれて、「え、誰?!」とビックリしましたが、たくさんの見ず知らずの観客からほんとうに何度も名指しで応援してもらえて、メチャクチャ励みになる!

 

この海外IMの文化、まじサイコーです。

 

基本的にレース中のトライアスリートは孤独ですが、周回コースの決まった場所に何度も応援してくれるグループもいたり、毎回腹から声をだして名前を叫ばれ続けると心から「ありがとう!見ててくれよ!」という気持ちになりました。

笑顔で走るとパフォーマンスも上がるし、なにより…嬉しい!

ボクも、観戦する機会があったらあんな応援をして一緒にレースを楽しみたいと思いました。

 

謎行動は続く…

入りのペースはかなりヌルく、チラッとGarminを見た時は6:35/kmくらいでした。

 

朝から必死にセーブしてきたとはいえ脚はもはやパンパンでストライドもピッチも上がらず…。フルマラソンで30Km過辺りで最初に脚が止まった時の感じに近く、この時の平均ストライドは80cm。ウルトラマラソン並み。

 

でもまぁ、中の下的には想定の範囲内で、そんな時の為にとりあえず色んな補給にすがる準備はしてありました。

ランのパーソナルニーズバッグには和菓子やMagOnやアミノバイタル

早速ピックアップです。

実際に使用したBikeとRunのパーソナルニーズバッグ
簡易保冷バッグになっている

ボランティアさんにレースナンバーを伝えて自分のバッグを受け取ると、なんだかやけに重たい。何だ?…とバッグを開けると、見覚えのあるドリンクボトルが一本…。

 

「 …マジかっ?!」

 

なんと、ホテルに忘れてきたはずのスペシャルドリンクが

「よう、待ってたぜ…」と言わんばかりにたたずんでいるでは…。

 

頭の中は大渋滞…、

「なんで?どうしてここに?!

 …てかコレ、ヤッたんじゃね!?

 いや…オレ、なにヤってんだ??

 ん?毎回ココに寄って飲むの?

 無理だろ。じゃあ持って走る…?

 いやいや…どど、どんな作戦?!」

 

再び補給戦略を修正です。今回は短時間で決めなきゃいけない。

エイドはたくさんあったけど、レース終盤に突然現れたスペシャルドリンクの魅力は中の下の胸ぐらを掴んで離しません。

 

で、…結局ソレ持って走りました。

まぁまぁ重い

自分でも謎ですが、朝ホテルを出る前に「ラン最後に胃腸がダメなのに脚が攣ったら固形の和菓子では心許ない」と思った様な記憶が…。で、「きっとこの方が助かるだろう」と、咄嗟にスペシャルドリンクをランのパーソナルニーズに投入したのではないかと…。

しかし、バイクに積むはずのドリンクは冷蔵庫で冷やしたまま出発したという…。

 

場当たり的でグダグダの準備に自分でも閉口します。ロング経験の浅い中の下アスリートが、パーソナルバッグなんぞでアドバンテージを得ようとするからこうなるんでしょう。

 

片腕はまともに振れなかったけど、確かにもう脚が終わっていたところに実績レシピのスペシャルドリンクが飲めて少し元気が出た気もするので、まぁ良かったことにしましょう。← いいのか?

 

日暮れ…

一体どのくらいの距離をボトルを持ったまま走っていたのか…。

スペシャルドリンクをちびちび飲みながら、大体30分おきにエイド利用の要否を判断しました。気づくと街灯の明かりで走る時間になっていて、コース脇のカフェやレストランでは滞在中の家族連れが夕食中…。その横を、ボクら選手らがはぁはぁと走ってゆく光景はちょっと面白かったかな。

既にヘロヘロ。忘我の世界でもカメラの前だけは…

コースは舗装路ですが、マリーナ周辺のウッドデッキの区間だけは少しフワフワとして力が入らず走りにくかったです。ランは、時々Lumina主催の練習会でポイント練習とフォーム改善のアドバイスをもらっていたので、以前より長く良い姿勢で大きなストライドで走れる様になっていたと思います。でも、この頃には腰も膝も完全に落ちちゃって、写真ではもう着陸態勢に入ってますね。

 

でも、歩かずに走り続けられたのがよかった!

苦しかったけど、リキんでペースが落ちてきたら決まったルーティーンでフォームを必死に修正しながら走り続けました。

 

肩と耳の距離が広がるくらい肩の力を抜いて、胸から上前に引っ張り上られる感覚で一本の棒になって、わずかに前傾して腕をやや後ろ寄りに楽に振って、お尻〜ハムストを意識して同じ出力で少しでもお楽に前に進める様に…このフォームのリセットの繰り返し。

 

脚が終わっても歩かず安定して前に進めたのが良かったですし、トレーニングの成果であったならば本当に嬉しいレース展開でした。

 

自分との戦いとは言うけれど…

走り続けてはいましたが、3周目に入るとエイド時間を含むペースは7分台後半。

 

ラソンあるあるですが、低速巡行型ランナーと、少し走っては歩くのを繰り返す選手がお互いに抜いたり抜かれたりし続ける事ってありますよね?

Cairnsでも、ソレがありました。

 

その人はかなり鍛えている感じの長身の日本人男性選手で、なんとなく見覚えのあるチームウェアを着ていました。多分、佐渡で見たウェアで、中の下には明らかに格上の選手に見えました。

 

他の選手の周回数はわからないけど、抜いたり抜かれたりしていると言う事はその時点でのペースは拮抗していて、それがあまり何度も続くとなんだか知らんけど勝手に変な競争意識が芽生えたりして…wもちろん、中の下がその区間を先行していても実は周回遅れって場合もあるのですが、なぜかこの時は「速くなくても走り続けている方が強い」と勝手な持論で意地を張っていたと思います。

 

レースも終盤になっての低速デッドヒートw

普段ならば速い選手はやり過ごすのに、何度抜いてもスタスタと追い返してくるにわかライバルの動向に神経を研ぎ澄ましていました。不要に疲れるし結果的にどちらが先行してるかもわからない…。

 

全く無意味な対抗意識だったけど、おかげさまで集中力を保てた気がします。

名前も知らない低速バトルのライバルさん、ありがとうございました。

またいつか、脚が終わってからの強さを競い合う機会があったらよろしくお願いしますw

 

最終ラップ!

鉛の様に重くなった脚で最終ラップに突入!

もはや、どんな補給もストレッチも意味は成さない…けど、泣いても笑ってもCairnsはあと10Km!!

 

少し脱水気味で手が痺れてました。

フォームのリセットをしても、もはや姿勢を保てるのは一瞬…。すぐに着陸体制に戻ってしまって、のしのしと重そうに進んでいたと思います。

時折、エイドの氷をもらってウェアの袖や裾に押し込むと冷たくて少し頭がシャキッとしたんですが、そのささやかな気分転換もその頃には全エイドで氷が売り切れ…。

もはや、暑くても痛くても苦しくても、気力と惰性で走り続けるのみ!

ボロボロでも写真は笑顔がキホン
左手はガチガチに握って力が入ったままですね…

出し切った最後の5Km

最後の5Km。ペースはまもなく9分台と、はたから見ればもはや走っているのか歩いているのか…。

自前の補給食は終了。すがる様に摂り続けてきたカフェイン入りモルテンとスポドリで胃腸の調子もそろそろヤバい感じでしたが、脱水が心配だったので遂にエイドのコーラに手をだします。

 

これが効きました!!

ジワジワと減速していって、最後の山がコーラパワー!
Finish後は30分Garminを止め忘れ…

レース前半は御法度のコーラですが、なんなんですかね…このアゲっぷり!

実際、自分でも徐々に身体が動く様になるのがわかりました。

あれだけ動かなかった脚を動かしたコーラのメカニズムは、真剣に謎。

 

さっきまで追いつけなかった先行の選手が気付けばすぐ目の前…。

「初めからコーラで戦えばよかったのか?!」と思ってしまう。

 

Garminで見ると、ランスタート時点のペースにまで戻しています。

アドレナリンの効果もあるのかなぁ?安易な「コーラ信仰」は危険そうですが…w

 

最終盤になって変に走れたせいで、心拍数もガチ上がりでした。

こんなに長いラストスパートは初めて。
最大スパイクの後の約30分は、Finish後のデータ…

 

気付けばFinishゲート周辺のMCと観客の歓声が聞こえてきて、”5回目に来たら入る”分岐まできましたが…

 

「合ってるよね?入っていいんだよね?」…と、疑心暗鬼。

 

もう、Garminと自分を信じるしかなくて、祈る様な気持ちで暗い歩道のコースから分岐に入ると、突然カラフルな照明と大音量のEDMが流れるレッドカーペットが!!

 

”中の下IRONMAN"

Cairnsに着いた日に見て感激の涙を流したあのレッドカーペットとFinishゲート!

経験済みのミドルまでは日中にFinishするので、ロング特有の夜の会場に響き渡るEDMと猛烈な照明と、「次は誰だ?」と注がれる観客からの視線の集中砲火が圧倒的で、新鮮!!

会場の盛り上がりに一瞬押し戻されそうになって、レッドカーペットの端で一度立ち止まった気がします。

 

レース前から、最初のIRONMAN完走が叶うなら、レッドカーペットはたっぷり味わおうと決めてました。幸い、コース上ではあれほど前後に他の選手が走っていたのにレッドカーペットは中の下だけ…。

 

「いょっし、行くぜ!!」

 

めちゃくちゃ眩しかったのは、瞳孔全開の興奮状態だったのかな?

両側の観客が手を伸ばしてくれるので、それに応えハイタッチしながら進みました。

感無量のレッドカーペット
晴れ舞台を録画してくれてた妻に気づかず、後で少し怒られた…w

すごいレースだったけど、…もう終わっちゃう!」

アドレナリン効果も手伝って猛烈な幸福感と一緒に、なんだか寂しい気持ちも…。

 

爆音のEDMに混ざって自分の名前がコールされるのがわかりました。

”AKIO..., YOU ARE AN IRONMAN, Sir!!"

 

「オレのことだ!!」

 

今思うと初完走でレッドカーペットを完全に独り占めできたのは本当にラッキー!

どこまでも贅沢な時間でした。

 

そして、遂にFinish!!

両手の拳を上げてFinishゲートを歩いてくぐりました。

最後は歩いてFInish!

IRONMANになれた!!

 

きっと泣いちゃうだろうと思っていたけど、なんだかそれどこじゃなかった…。

ちゃんと最後にコースに敬意を払いたかったので、Finishゲート下でフラフラと振り返って帽子を脱いで、頭を下げました。

コースに向かって今までにない深さで礼…
…と言うか、頭を下げたままもう動けなかった。

スイム3.8Km:   01:33:11

バイク180Km:  06:53:41

ラン42Km:       05:30:55

公式記録: 14時間14分43秒

 

首に完走メダルをかけてもらって会場出口を見ると、一緒にNAS x LUMINAのスイム練に出ているLUMINA編集長のM氏がジンバルにつけた取材用iPhoneでボクを撮影しながら静かに左手でガッツポーズを作っています。

 

思わずボクもガッツポーズを決めてシャウト!

「ぃヨッシャーーーーーッ!!!」

 

…で、シャウトしてクラっときた…

まさかの過呼吸

 

この後、しばらく動けなくなってFinisher用テント手前のパイプチェアーに案内されて、スポドリを飲みながら落ち着くのを待つ事に…。

 

かっこワル過ぎ。だけど、ギリギリまで追い込めた様にも思えてスゴい達成感。

 

良く頑張った、オレ!!

 

RUNの各CPでの平均POSITION =726.9位

スタートが大体900位、スイムアップが845位、バイクラップは721位だったので、苦労しながらもなんとかポジションを守り切った形。苦手なランパートでしたが、中の下としてはこの結果には大変満足です。自分を褒められる、納得のレース結果となりました!

 

「IRONMANが全員スゴいわけじゃない」?

いきなり訂正します。IRONMANは全員スゴいです。

 

でも、IRONMANの中にも準備が不十分だったり、遅かったり、自分のミスでいくつものトラブルに見舞われたり、全く思い通りのレースをできない人はいます。事実、IM Cairns 2023でもDNFはたくさんありました。

 

でも、このロングのブランドレースに挑戦するトライアスリート達はみんな自分なりに大変なトレーニングと準備期間の中で、家族との生活や友人との時間や自分のエネルギー、時には仕事さえ犠牲にして自身のX-DAYを設定し、不安と緊張と数えきれない困難や葛藤を乗り越えた上でIRONMANの称号を手に入れます。

 

この、本人以外には知る由もない長い苦労と挑戦のプロセスを経て、目に見えない何かを身に纏って今日そこにいるIRONMAN達は紛れもなく全員スゴいやつらです。

 

今でも時々、ふとした瞬間に自分のFinishシーンを思い出します。

あの日から、自分はIRONMANだという自己承認の力で、困難な時も、究極何かに負けている時でも、なんだかそれでも自分は強いという気持ちを持って生きられています。

これがIRONMANの本当の力なのかもしれません。

 

体力や筋力の凄さをイメージいていたけど、Finishゲートまでの自分とゲートを過ぎてからの自分はもはや心理的別人だと言えます。

 

遅くても、”強い”。失敗してても、”強い”…。

「中の下でも、I AM AN IRONMAN」

 

<続く?>

初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.3: バイク

<”初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.2 :スイム”の続き>

遂に本番!! 中の下IRONMANは完成したのか?!

2023年6月18日

遂にやってきた中の下的夢の大舞台。

7年越しの挑戦となった

『Cairns Airport IRONMAN Cairns 2023』!

 

引き続き致命的な遅筆ブログですが、レース当日の<バイク>パートの報告です!

 

トランジション

目標より8分遅れてスイムアップ!

 

T1入口のシャワーで軽く塩分を流したら、バイクバッグを回収して着替えテントに向かいます。

夜の間に雨の予報があった為、中身はビニール袋に入れている選手も…

Cairnsでは多くの海外選手が”バイクのウェア”でバイクパートを走っていた様に思いますが、中の下はトライスーツ1着で完結なので着替えは無し。でも、実は足が快適でないとダメなタイプでして、芝生や砂のチクチクなどはもうホント気になって気になって仕方がない…。

砂浜と着替えテント内で拾った砂や芝生を、時間をかけてできるだけしっかりと、次の7〜8時間は違和感無く競技に集中できるな〜ってところまで足がキレイにして、靴擦れとかもまっぴら御免なので厚手の靴下を履いて、事前にしっかりと履き込んだ古いバイクシューズを履きます。← こう言うとこだけ変に神経質

 

アミノバイタルの赤をぎゅぎゅっと吸引してテントを出ると、バイクラックで唯一全く水分が搭載されていないバイクが待っていました。

 

「…いいのか、コレ?

 

今更どうしようもないのでヘルメットを被ってマウントエリアに向かいます。

空のボトルケージx2と空のトーピードでスタート
カメラマンに親指立てて笑ってる場合じゃない

 

↑この辺りの給水ポイントで100cc程の水を飲んだけど、いくらなんでも足りないはず…。

出発前最後の給水チャンス。更に水をもらってトーピードに入れようとするけど、給水口のリッドを外さないとうまく流し込めない…

 

「ああもうメンどい、行こ行こ…(投槍)」

 

残りの水もガッと飲み干して進みます。

足の芝生はきれいに落としても、まともに水も確保しない始末…。

今思えばなんて不用意な判断…。これは、ダメですね。

 

当初の予定よりドリンクの分だけ軽量のバイクで180Kmの自転車の旅が始まりました。

 

トラブルは、続く…

例の如く、「踏まない踏まない…」と念じながらのバイクパートの始まりです。

「最初にハイウェイに出たら右折して北上、一周約70Kmのコースを2ラップした後に南下してT2に向かう変則コース。」

 

…と、おぼえていたのですが、ハイウェイに出るといきなりシティ方面に左折して南下させられました。

 

あれ?周回方向間違ってたか??

 

…なんて思いながらゆるやかな下りのハイウェイをちょっと走ったところで、ボランティアのヒゲのオージーがコース脇からボクを指差して

「IRONMAN!? Hey, IRONMAN?!」

 「アイアンマンか!? おい、アイアンマンなのか?」

とでかい声で叫んでいます。こちらも速度がのっていたので反応仕切れずにそこはシュバっと通過。でも、その1〜2秒後にまた別の少しワイルドな感じのオージー男性がDHポジションのボクの顔を覗き込む様にして、必死に並走しながら、

「IRONMAN?! Are you IRONMAN?!?!」

 「アイアンマンか? あんたアイアンマンなのか?!?!」

と叫んできます…。

 

…なんだコレは?

 

もしかしてこの辺りのおじさん達は

「お前IRONMANだろ!?(もっとスゴいとこ見せろや!!)」

と、煽り気味に応援する文化があるのだろうか??

 

そう思って、

「Yeah, I AM (AN IRONMAN)!」

 「あぁ、そうさ!(オレがアイアンマンだ!)」

と追い抜きざまにニヒル顔で返事をすると、

 

「そっちじゃねぇ!!

 IRONMANはあそこでU-ターンだっ!!

…という必死の叫び声がわずかにドップラー効果をともなって聞こえてきました。

ここ

チッ…、確かに短く南下してすぐ北上してやがる。

この部分を見落としていたか…。← ニヒル継続中

 

で、なんか知らんけどコース上のU-ターンのサインまで見過ごした様です。

完全なミスコース。下手すりゃDSQ(失格)なのにカッコつけてる場合じゃない。

 

IRONMANディスタンスはまずこのU-ターンを最南端とする周回コースを2ラップしてから、ここを直進してシティーへ南下します。

ボランティアのお二人は、(1ラップ目を終えた70.3の選手は全員ここを直進(南下)してシティーへ向かうけど)お前はIRONMANディスタンスだろ?ここでU-ターンしなきゃダメだ!と親切心で教えてくれていたのです。

 

忘れ物に判断ミスにミスコース…。今思えば色々と冷静さを欠いていた様に思います。

ちなみに、ボランティアさんは顔を覗き込んでいたのではなくヘルメット前面のゼッケンの色でカテゴリーを確認していた様です。

 

沿道には観客やボランティアの他、選手もたくさん…。

恥ずかしかった。穴があったらエンターでした。

 

慌てて、来た道を戻ります。

 

近くにいたオフィシャルに「乗車したまま戻ってコース復帰していいか?」と確認して、コーンでクローズされている反対側の車線を使ってU-ターンポイントまで戻ります。

 

戻りながら、二人のボランティアさんに

「通過するとこだった!ありがとう!!」

…とお礼を言い、TOにも手を挙げて挨拶をして、安全を確認しながらコースに復帰しました。

 

最初の給水まで

中の下的砂漠のオアシス”第一エイド”はまだまだ先でしたがバイクパートで突っ込む気なんて全く無く、ならば20Kmくらいなら無給水でも大丈夫だと心の片隅で思ってました。

ところが、気づけば天気はピーカン。コースも予想以上にアップダウンが激しい…。そもそもここは高温多湿の熱帯雨林気候。DHバーを握ったままではシンドい登り坂に来た時に「マズイかも…」と思いました。

まさに”ローリング・ヒル”のバイクコース
低いとはいえ山越えもちゃんとある

 

とりあえず、ペダルを回しながら頭の中でエイドのリハーサルです。

 

Cairnsのエイドは定型レイアウトで、補給・給水の順番の他、フードやジェルの有無のバラツキもあまりなかった様に思います。

IMケアンズのバイクエイドの定型レイアウト

エイドの基本の流れは、

①捨てる:空のボトルやゴミをRUBBISHで投げ捨てる(最初は無し)

②もらう:ドリンクやジェルをもらう

③捨てる:その場でゴミが出たら、またRUBBISHエリアで捨てて先に進む

ちなみに、RUBBISHエリア以外で故意にゴミを捨てると大きなペナルティーが課されます。

 

スペシャルドリンク戦略がスタート前に破綻したので、トーピードと二つのボトルケージと、ジェル補給の戦略はぶっつけで考え直す必要がありました。

もはや、各エイドで忘れ物はNGです。最悪の場合は「とりあえずもらう」作戦で行くことに決めました。

 

気温と一緒に体温も上昇していたと思いますが、体調はとても良かったです。暑すぎなかったのもあるし、なによりIM Cairnsを走っている事自体が嬉しく、少し興奮気味だったのかも?

 

緩やかな登りの直線道路の先にたくさんのボランティア達と一緒に第一エイドが見えてきた時は、まさに”砂漠でオアシス”でした。喉は乾いてたけど、パフォーマンスが落ちる事は無かったと思います。

 

後からGarminのデータで計算したら、T1からここまで36分程度。

平均速度=29.7Km/h。

おさえていたつもりだけど、これでも速い方。入りとしては中の下的には上等です。

 

捨てるボトルもゴミもないので、まずはドリンクに一直線。

笑顔で親切なボランティアさんから思ってたより少し長めのボトルを受け取って、最初にトーピードに給水。中身はゲータレードのレモン味で、個人的には飲みやすい味かな。

少し残った分をがぶ飲みしながらもう一本ボトルをもらって、それをボトルケージに。掛け水ボトルは、その場でたっぷりカラダにかけたらもう十分といった感じだったので、もう一個のケージは空のままにしました。

 

ジェルは、モルテンの白と黒を合計4本もらいました。

こいつら、なにげに高額ニュートリションだった

後日、Amazon.co.jpで調べたらコレ一本1000円以上。

 

オレのランチ代超えとる?!

 

この時はまだ値段はおろか黒と白の違いさえ知らない未知のニュートリションでしたが、とりあえず背中のポケットに押し込んでボランティアさん達にお礼を言って無事に第一エイドから出発です。

 

2022年 人気No.1のコース

水分とカロリーを手に入れた途端にものスゴく気持ちが楽になりました。

まだ160Kmあるバイクレッグですが、快調に海辺のローリングヒルを流しました。

 

時折DHバーから上ハンに持ち替えて見渡すと、グレート・バリアリーフをのぞむ海岸線を走るバイクコースは脳内が幸せホルモンでビッシャビシャになる美しさ!!

Cairnsが2022年の人気No.1のレースに選ばれた理由がよくわかります。

 

「うぁ〜、すっげぇ〜〜〜っ…

自然に感動の声が漏れました。気づいた周りの選手らもDHバーから体を起こして海の方を見渡してます。まさに、”レース”が”旅”になる瞬間。

自然がいっぱいの南国リゾート
そこのハイウェイをレースで独占使用する贅沢さ

もうそこを走っている事自体が楽しくて嬉しくて仕方がない…。レースも大事だけど「こりゃ楽しまなきゃ損だわ。」と思わせる魅力がCairnsのバイクコースにはありました。佐渡とかもそうでしたが、こういうマインドでのぞめるレースってパフォーマンスが上がります。だからレースが楽しくなるし、それがIMともなれば自然に世界的に人気になるのもうなずけます。

 

ちなみに、海外レースのバイクコースは時々その舗装の悪さが話題になりますがCairnsのこのハイウェイに関して言うと”問題無し”でした。多少荒れた部分があっても、「このくらいなら日本の道路にも時々あるな…」程度だったと思います。

 

頑張らないを頑張った180Km

この美しいローリング・ヒルのコースを往復する2周回はとにかく好調でした。

嫌な風もあまり無く日差しも想定内だったのでヤバい消耗の仕方をせずに済んだと思います。でも、2周目が終わる頃にはだいぶ疲労も溜まってなんとなく左スネの上の方に痛みが出ていたのでエイド毎にたっぷり水をかけながら進みました。

 

エイドではモルテンを2本ずつもらっていましたが、このモルテン君、やや固めに作ったフルーチェみたいなジェル感が飲みやすかったです。しかも、なんだか”効いてる感じ”がしたのですが、ボランティアさんから白がカフェイン入りと教えてもらって「あぁ、あれはカフェインの効果だったのか」と、カフェイン中毒気味の中の下は納得でした。

 

唯一、難点を挙げるとモルテンのパウチはアルミです。

歯で噛み締めて中身を絞り出すと歯がきぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜ん!となります。それ以外は「こりゃリピ確実」と思える商品…だったのは、値段を知る前の話ですw

 

さて、「頑張らない…」の本題にもどります…

中の下トライアスリートはそもそもスピードもパワーも大して無いが故にバイクもランも平均より遅いです。特に、最後のランは足が残っていないとその遅さに拍車がかかります。

 

中の下のフルマラソンのベストは4時間22分…だったかな?ギリギリ、サブ4.5。

ラソンだけしか走らなくても下手すりゃ5時間近くかかるのに、バイクで足を削るとDNF (TOV)のリスクが高まります。だから、ロングのバイクパートはDHバーを握りながら「踏まない…踏まない…、脚を残す!」と、声に出して自分に言い聞かせながら走るガマン大会です。

 

周回コースの2周目が終わると40Km弱の真っ直ぐで平らなハイウェイをCairns シティーに向けて南下するのですが、実は例年ここがクセモノなのだとか…。

 

サム酒井さんの解説によると、

IM Cairns名物の風が厄介なのだと。

 

当日の気象情報を妻が記録してありました。

注目は「風向」と「最大瞬間風速」

 

↑この気象情報は早朝のもので、午後は概ね南東の風に変わります。

コースに南東の風を矢印で表すと下の通り…

バイク最後の平坦直線区間は、完全向かい風

どフラットで、本来なら淡々とイーブンペースで巡航できる区間のハズなのに6月のCairnsでは時速10Km以上の風が真正面からずっと吹いてるそうです。

 

実際のところ、風除けの無いひらけたハイウェイの直線はずっと風が吹いていて、パワーの無い中の下レベルだと気を抜くと減速しちゃう時はありました。そろそろ首の後ろもしんどくなってくる頃にDHバーに張り付き続けないとならないのは辛かったです。

40Kmにも満たない距離がやけに長く感じたし、折角の平坦路なのに気持ち良く巡航できないので、気持ち的にも体力的にも大変でした。

 

折角残しておいた脚でしたが、まんまとこの区間でいい感じに削る結果に…。

 

応援との一体感が…

ハイウェイからシティーエリアに入ると、周辺の建物のおかげで急に走りやすくなります。そこからIM Cairnsのメイン会場であるフォガティーパークまではあっという間。ホテルが立ち並ぶエリアまでくると、徐々にコース両側が人混みで賑やかになってゆきます。

この辺りから一気にお祭りムードがUp!

T2までもう1キロというところまで来ればもうとにかくすごい人、ひと、ヒト!で、スゴいのが、みんなIRONMANを観戦するのが目的でコース沿いに仲間と陣取って、通り過ぎる選手達を分け隔てなく応援しまくってます。

 

ちょうど良い写真がないのでIRONMAN OCEANIAからイメージを拝借…

参考写真: IRONMAN OCEANIAより過去のCairnsのイメージを拝借しました

コスプレしてる人やカウベルを鳴らしまくる人、家族連れに酔っ払い、近所の人は犬と一緒にコース脇まできて盛大な応援を送ってレースを楽しんでます。コースに面したCairns名物のカフェも全て大賑わいで、町中が完全にお祭会場!走ってるこっちも嬉しくなってしまい、思わず笑顔で手を振りながら走ってしまう様な独特の、なんと言うかもうサイコー!な空気感です。

 

気分のブチ上がる初IRONMANの空気を楽しみながら、T2の準備…。

まず、向かい風のハイウェイでかなり足を使ったので足攣りが心配でした。T2に近づいてきたらもう楽にゆっくり回したり少し漕いだら惰性で走りながら両足の裏側や腰を伸ばしたり、少しでも足の血流を促して足をリセット(?)しようとしていました。

 

T2手前はランのコースとかなりの区間並走しています。もうたくさんの選手が既にランに入っているのが見えて、少し気持ちが焦りました。

 

バイクパート完走!

ディスマウントライン!

なんだろう…、また一つパートをクリアできるのが嬉しいのと同時に、一番大変なランが始まる恐怖が入り混じった不思議な気持ちでライン手前でうまくバイクを降りると、iPhoneを構えて待っていた妻の声が…。

妻「すごいじゃん!予定通り!」
中の下「お〜っ!なんとか帰ってこれたよ〜!」

フタを開けてみればここまではほぼ事前に妻に伝えてあった予想タイム通りに来れたので、妻曰く「すごいじゃん!予定通り!」。

レースは生き物で、いつでも思った通りの時間に帰って来れるなら悩み事はありません。彼女も、いままで色んなレースの帯同でうんざりする程待たされて来ているので、きっと時間通りの登場に驚きながらも喜んでもらえたんじゃないかと…。

 

T2のバイクラッキングはボランティアさんがやってくれます。選手はバイクを渡したらランバッグを拾ってテントに直行です。

ボランティアの子供達がバイクを受け取って決められたラックまで運んでくれます。

 

テント手前で前日に自分の番号のフックに掛けたランバッグをピックアップ。

IRONMANディスタンスの選手のランバッグのラック(撮影は前日)

朝からずっとペダルを回す運動しかしてこなかった足が地面に立った瞬間に攣ってしまった経験が何度かあるので、ゆっくり探る様に歩きながらテントに向かいました。ブリックランをやり込むとこの辺りは改善するものなのだろうか??

 

バイクパート = 6時間53分42秒

 

予想タイムとレースプランでは、「足を残して7時間」。足は微妙だけど、いくつかのトラブルを乗り越えて6分早く到着できたのは、自分としては上出来!!

リザルトを分析すると各バイクCPの平均順位は721位。スイムアップ時に845位だったのでなんと124人抜いた事に!!

 

これは中の下としてはナカナカでしょう!

スペシャルドリンクじゃなく、モルテンがよかったのか?!w

 

しかし、次は一番苦手なマラソン

多かれ少なかれ必ず苦しむ事は想定してるけど、なによりまだ明るい時間帯にここまでこれた事がなんだか気持ちを楽にしていました。

 

前年の佐渡Aではランに入って数分で体調が一気に崩れてDNFしちゃいましたが、ここからが中の下的本番!!時間はたっぷりあると思って、できるだけ冷静にランの支度を始めました。

 

<”初挑戦!! 『IRONMAN Cairns 2023』No.4: ラン”に続く>

chunoge.hatenablog.com

初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.2: スイム

<”初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』 No.1 :レース前夜まで”の続き>

遂に本番!! 中の下IRONMANは完成したのか?!

2023年6月18日

遂にやってきた中の下的夢の大舞台。

7年越しの挑戦となった

『Cairns Airport IRONMAN Cairns 2023』!

 

引き続き絶望的遅筆ブログですが、レース当日の<スイム>までの報告です!

 

 

レース当日!!

意外にも、前日はあっさりと眠りに落ち6時間近く寝ました。

 

比較的ゆったりと朝食を摂って、悩みながら準備した補給食やギアのバッグ2つを持ち、ボクより1時間後の観客用バスでパーム・コーヴに向かう妻を残してホテルを出発。まだ暗いケアンズ市内を選手専用バスの乗り場まで徒歩で向かいます。

 

これから始まるゴリゴリのレースなど想像もつかない静かで穏やかなストリートが印象的でした。

まだ暗いフォガティー・パークT2を交差点越しにのぞむ。
バス乗り場は写真すぐ右側

 

バス乗り場に着くと既に行列…。

先頭のバスの最後の方に乗車しました。

 

多くの選手は無言で乗っていましたが、隣のオージーの選手が話しかけてくれました。

 

OZ君「Hi, レースの準備はどう?」

中の下「多分OKだけど、初IMで…Cairnsに着いてから緊張しっぱなしだよw」

OZ君「初めてなんだ!Good luck on your race!」

中の下「うん、楽しみたいね!キミは何度目?」

OZ君「Cairnsは初めてで、オーストラリアの他のを3回完走してるよ。」

中の下「西オーストラリアとか?」

OZ君「Busseltonも出たことあるよ。」

中の下「近くにIMレースがあっていいね〜!日本は70.3しかなくてアーダコーダ…」

 

後から考えると、オーストラリアはデカい大陸だし全然近くのレースじゃないんだけど…。

 

そんなこんなでバスは30分もかからずパーム・コーヴに到着。バイクとランのパーソナルニーズ・バッグを預けながらT1のセットアップに向かいました。

 

失神寸前!

中の下が気を失いそうになったのは、バイクのセットアップを始めた時でした。

 

「!!…冷蔵庫!!」

 

トーピードへの給水を頭の中でイメージした刹那、前日に作ったバイクパート用のスペシャルドリンク(1,400Kcal分)が今もホテルの冷蔵庫のドアポケットで冷えたままなのを思い出しました!!

佐渡Aでお腹を壊した記憶から、少しでも安全に使える様に朝まで冷蔵庫で冷やしておいて、ホテルを出る前にバッグに入れるつもりでした。

 

ヤバいヤバいヤバい…(滝冷汗)!!!

 

パラチノースアミノ酸、その他のミネラル類…全て実績ありの日本製のニュートリションでかためて、中の下も安心・納得の特性スペシャルドリンク。

中の下の裏付けの無い自信の下支え的存在の補給戦略です。ここにきてこのささやかな自信まで失ってしまったら本当にDNFする自信満々です。 ←ちょっとナニ言ってるのかよくわからない

 

IM挑戦するのにバイクパートで1400Kcalを摂取できないのも大きい…いや、ダメでしょ。

軽い死刑宣告。正直、オレのCairnsは終わったか…と思いました。

 

いやいやっ!!

こういうトラブルは乗り越えてナンボ (高速目踊;)!!

 

少ない脳みその、まだ動揺と悲観に汚染されていないところをフル稼働させて打開策を考えます…。

 

「妻が冷蔵庫のボトルに気づいて持ってきてくれるかも!?」

…という他力本願な希望は、間もなく打ち砕かれました。

 

「エイドステーション全てに止まって補給食を確保し続ければ…!」

幸い、バイク用のパーソナル・ニーズ・バッグにはお守り程度に100円ショップのヨウカン数本とMagOn2パックを入れました。

 

不足分はエイドで稼げば…。

 

弱った胃腸で耐えられるかわからないし、遅い選手の分までエイドにそれらが残っているとは限らない…でも、現地のチョコやクッキーや果物、試したことのないエナジージェルにベジマイトで1,400Kcalを確保するしかない…。

 

実績ナシですが、背に腹は代えられません。

 

大舞台での大失敗によるいきなりの作戦変更…。

どのみち完走できるかどうかはわからないレースなんだから、とにかくできる事をできるだけやれる様に、一生懸命、残りの準備を進めました。

 

穏やかな海

昨日同様、パーム•コーヴは信じられないくらい凪いでいました。

スタート前のスイム会場
ウォームアップは各自会場手前で…

スタートまでの時間はビーチ沿いのベンチに座って妻がホテルで作ってきてくれたおにぎりを食べたり写真を撮ったり、ずっと会話をしていたので余計な緊張がほぐれました。知り合いにも何人か会えて、Cairnsのソレとは思えない穏やかすぎる海の話でも盛り上がりました。やっぱりみんなこの穏やかな海に安心した様でしたが、中の下レベルなら尚更です。

スイムスタートに向かうところ
それにしても、なんとも穏やかで美しいレース会場…


この海況で「Cairnsで3.8Km泳いだ…」と言ってよいのかわからない程、穏やかすぎる海です。でもこの後、意外と強い潮の流れに驚く事になるのですが…。

 

午前8:00 初IM レーススタート!

IM Cairnsのスイムは5秒おきに5人ずつのローリングスタートです。

スイムの事前申告タイム別にキャップの色でWave(Zone)分けされていて、中の下は一番遅い”1時間25分以上”のWaveの紫色のキャップが支給されました。

 

ちなみに、中の下の目標タイムは1時間25分

 

いつものレースの様に前方のスタートセレモニーや先頭グループがスタートした気配を感じ取りながら、10分程砂浜で順番を待ちます。

 

なんとなく、自分の並んでいた列が進まないなぁ…なんて思っていたら、最後から二人目のスタートになってました。全選手のほぼ最後尾からのスタートは、初めて。

 

どのみちネットタイムだし、まぁこれでいいやw

スタート最後の三人…の一人でした。
緊張しながらも、とてもワクワクしていました!

 

海の透明度は前日同様、低かったです。とはいえ、最近はOWSでは水中の視覚情報はあまり役に立たないと分かったので水が濁っていてもそれ程気にならなくなりました。

 

できるだけヘッドアップ頻度を上げて、随分とまっすぐ泳げたと思います。

 

コースは1周約2,000mの周回コースを1と4分の3周したら320m離れたスイムFinishゲートを目指す3.8KMの変則コース。

今年のスイムコースと実際の泳いだ線
潮流のせいでやや画像の上方向に流され気味なのがわかります

 

波やうねりがないのでブイ自体は見えなくて困る事もなく総じて泳ぎやすかったです。

慌てず無理せず、他の選手の事は気にせずにできるだけゆったりとしたペースで大きく泳げば、結果につながると信じて次のブイを目指し続けました。

 

比較的みなさん親切な選手が多かったのか、中の下自身はラフなシーンには一切出会いませんでした。ただただ、蕩々黙々と泳ぎ続けた感じです。

 

そしてスイムアップ!

無事にスイムアップ!
最後のブイからスイムFinishまでが一番右方向に流されました。

 

スイム3.8Km: 1時間33分11秒 

 

おぉっと、目標より8分遅いぞ…?!

佐渡Aの4.0Kmがちょうど1時間30分だったのを考えると、体感以上に潮の流れに苦労していたのか、あるいは佐渡は集団で泳ぐ時間が長くドラフティング効果があったのか…??

 

この日スタートした選手は約900名ほどで、スイムFinishゲートの通過順位は845位。最後尾からスタートしてスイムパートで50人も抜いた記憶は無いので、恐らく先行Waveで振るわなかった選手もある程度いたのでしょうね。

 

スイム- その他のお話

ところで、昨年はケアンズ大会では名物的なクラゲやワニの出現が話題になりましたが、今年は全くそういった話はなかったです。

(左)ビーチ常設のクラゲ・ワニ注意の看板、 (右上)その他の看板。サメや蛇もあり、
(右下)ビーチ・レポートは毎日ライフガードが更新。写真は6/17のもの

昨年までは、だいたい毎年FacebookなどのCairnsコミュニティで…

「水温25℃くらいありそうだけど、みんなウェットスーツはロングジョンにするの〜?」とか聞く人がいると、

「スティンガー(クラゲ)が出るからボクはフルスーツだよ!」とか、

「…でも、ワニがいたらどっちもおなじじゃね?」みたいな会話が展開されてました。

 

スティンガー・ネットを張って開催した年もあったみたいですが、今年は海況もよく本当にラッキーだったと思います。

 

…まぁ、ちょっとだけ船酔いする様なCairnsを体験できなかったのが心残りだったりしますけどね…。

 

初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.3: バイクに続く>

初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』 No.1: レース前夜まで

遂に本番!! 中の下IRONMANは完成したのか?!

2023年6月18日

遂に、…遂にです!

オーストラリア クィーンズランド州ケアンズで開催された

『Cairns Airport IRONMAN Cairns 2023』に

出場してきました。

 

中の下的夢の大舞台…の割には猛烈な遅筆ブログですが、その報告をこの後数回にわたって描きしたためてゆきます。

レース前の静まり返ったレッドカーペット: 緊張と感激、期待と不安。
「(ここまで)帰って来られるかなぁ…」と呟くと、自然に涙が…

 

全てはここに辿り着く為…

長かったです…

 

7年前に始めたトライアスロン

「50歳までにIRONMANに…」という夢を小脇に抱え徐々にレースの距離をのばして、なんとなく「もう走れるんじゃないか…」とドキドキしながら初IMにエントリーしたのが3年前の同Cairns 2020年大会。49歳でした。

 

馳せる想いとは裏腹にまんまと新型コロナにハシゴを外され、気づけばもう3年…。昨年はうっかり佐渡Aの選考を通過してしまい図らずも初のロング挑戦。でも、ランで体調を崩してDNFという苦い経験を経て、52歳。←今ココ 

そして、遂に大本命のIRONMANに挑戦です。

 

世界的なポストコロナの物価高や円安は痛かったですが、もう延期はイヤでした。

妻がサポート帯同してくれることになって、初海外レースでもあるIM Cairnsに挑戦です!

 

レース4日前に現地入り:

<6/14(水): 初日>

成田を夜8時過ぎに発ったJetsterが憧れのケアンズに着いたのは翌日、水曜日の朝4時半。日付を跨ぐフライトでしたがほぼ眠れないまま現地に到着。いきなり寝不足で心配になりましたが、レースは日曜日…。こんなこともあろうと前のめりで現地入りしたのは正解でした。

 

空港からケアンズ市内にあるキッチンと洗濯機が付いたホテルまでタクシーで15分ほど。まだCheck-In時刻前なのでホテルに自転車や荷物を預けて、妻と一緒にまだ人影もまばらな市内を散策しながらケアンズ名物でもある早朝カフェがオープンするのを待ちました。

 

海に向かって歩きながら大会会場近くのエスプラネードまで来ると、デカい大会バナーがお出迎え。まだ暗い時間帯で他に誰もいませんが、一気にIM Cairnsの現実感が高まります。

IM Cairnsは2022年のBest IM Raceに選ばれたレース。
ここは連日行列ができる程のフォトロケになってました。

朝6時半にはいくつかカフェがオープンして、そこで現地最初の食事となりました。チーズと卵とベーコンのサンドイッチとコーヒーのセットだったかな。日本人にあった自然な味付けでとっても美味しかったですよ。

 

ちょっと観光…

実は、妻が事前に二つほど現地の面白そうなツアーを調べていました。わざわざケアンズまで行ってレース観戦だけってのも勿体無い。で、その一つが、「熱帯雨林のジャングルを古い列車に2時間程揺られながらコアラを抱っこしに行く日帰り個人ツアー」です。

目的地のキュランダ。客車同様、駅舎もとても良い雰囲気のケアンズの定番観光地。

その列車は、毎日午前8:30と9:30にケアンズの一番大きなショッピングモールの裏から出ていて、熱帯雨林を通り抜けながら山の上のキュランダという古い街まで2時間ほどで到着します。そこにある野生動物の保護施設でコアラと記念写真を撮ったりできるわけです。夫婦でコアラの抱っこ写真を撮ったりワラビーに餌をあげたり…、寝不足ながら貴重な癒しのひと時を過ごして、夕方以降はホテルの周辺を散策して初日は終了となりました。

 

発見:

・オーストラリアはジャンルを問わず飯が美味い(ベジマイトは除く)

・チームウェアで歩いてると「週末に走るの?頑張って!」って現地人に応援される。

アメリカ英語はわかるけど、オーストラリア英語は半分くらいしか聞き取れない。

・現地オージー達は総じて親切。

・3日前着の選手が多い。4日前着は宿泊費はかかるが空港は空いていて良い。

 

<6/15(木): レース3日前>

レースに向けて現地での準備を開始です。

 

あるあるですが、事前にExcelで作ってあった自分用スケジュール表や準備項目のリストは、現地に着くと移動時間や後からわかる情報がたくさん出てきて手書きの追加メモでいっぱいになります。

 

写真を見せてあげたいけど、あまりにグチャグチャで恥ずかしいのでやめときますw

 

この日の主な予定は、食材や生活に必要なものの買い出しと、午後に予約してあったアスリートCheck-Inでした。

 

現地での食生活:

レース準備に時間をかけたいので現地生活での食事や買い物にかける時間は短いに越したことはないのですが、宿泊したホテルがケアンズ市内で一番大きなモールの目の前で、スーパーマーケットが2つも入っていたのはとても助かりました。

 

一応、昨今の世界的物価高の煽りに対応すべく日本からご飯やうどん、レトルト食品などをたくさん持参していましたが、肉と卵と野菜と果物を現地で調達してカーボとプロテインに重点をおいたメニューでの食生活は意外と日本にいる時と大差ない内容にする事ができました。

 

ところで、中の下は一年で363日は晩酌する”毎晩飲む人”です。基本は焼酎、でも夏は時々ビールが美味い…。スーパーで「ビールはどこだ?」と探しますがどこにも見当たらない…。どうやらこの国ではスーパーでは酒類は販売しないようです。その代わり、店のすぐ隣にスーパー系列の酒店がほぼ必ずあるので、そこで現地人おすすめのビールを購入しました。

Coopers (クーパーズ)というビールのラインナップ数種類がどれも美味かった!

アスリートCheck-In:

アスリートCheck-Inは事前予約制で、日時スロットを指定する必要がありました。中の下はこの日の午後3時から5時の間を予約。会場は大会メイン会場のフォガティー・パークにある観覧車のすぐ隣。IMグッズのストアも併設されていて、たくさんのボランティアの皆さんとアスリート達で賑わっていました。

アスリート・Checi-In会場。ここでレース翌日までつけっぱなしのリストバンドや選手キット、
事前注文のパーソナル・ニーズ・バッグなどを受け取ります。

アスリートCheck-Inが済むと、出口がIMグッズのストアになっています。この辺りがIMがアスリートとトライアスロンをビジネスに利用しすぎているとか言われてしまう所以か…と思いながらも、「ここでしか買えない、今しか買えない!」と思うと自然に財布の紐が緩んでしまうのでした…。

 

<6/16(金): レース2日前>

そろそろ嫌でも緊張が高まって、細かな準備で頭をつかう作業も熱を帯びてきます。

 

Garmin EdgeとFenixの設定と充電の確認

・パーソナル・ニーズの中身と、自転車に載せるジェルの仕分け

・T1とT2のBikeとRunのバッグの内容とセット手順と日程確認

・自転車預託までに自転車の組み立てや整備をして、輸送の準備

・スイム会場へのバスの予約の確認

・当日、T1に持ってゆく持ち物リスト作成

…などなど、調べ物も確認事項もあげればキリがない程です。

 

面倒だけど、事前説明のうろ覚えの部分はアスリート・ガイドやHPのFAQを時間をかけてもう一度熟読して不要な失敗でレースを台無しにしない様に必死です。場数を踏めば多少楽になるのでしょうけど、初心者はとにかく時間をかけてレースの前中後をイメージして何度もウォーク・スルーしながら疑問のある部分は徹底的に潰してゆくしかないので時間がかかりますよね。

補給食戦略は複雑。パーソナルバッグ有りだと
いつもより複雑でなかなか決められない…。

この日は大会側で指定しているバイク輸送の為の預託や、英語が苦手な日本人選手の為の日本語ブリーフィングなんかも開催されました。

 

IM CairnsはT1とT2が離れた場所にあるレースです。スイムパートとT1があるパームコーヴ(Palm Cove)エリアと、T2とFinishGateがあるケアンズ市街地のメイン会場です。多くのアスリートがケアンズ市内に滞在している中、選手のバイクをT1まで安全に移動する為、事前に予約をするとバイクを市街から輸送、ラッキングまでしてくれます。そういった複雑な”段取り”やそれに伴う注意点などを日本語で教えてくれるのがこのブリーフィング。

 

日本語ブリーフィングはIM公式アンバサダーも務めるサム酒井さんの主催で開催。慣れた感じの説明でポイントを押さえてくれます。ちなみに、英語圏以外の国で公に自国言語のブリーフィングや通訳を担当してくれる方がいたのは、日本だけ。

日本語レースブリーフィングの様子
TK竹谷さん筆頭に、有名日本人選手を含めての事実上の日本人選手決起集会

この日は午前にこの日本語ブリーフィング、午後3時過ぎに自転車を預託して主な予定は終了。明日はレース前日。トランジション・バッグを各Tに預けに行く日でもあるので、夜は徹底的に補給食や持ち物の不備がないかを確認して過ごしました。

 

<6/17(土): レース前日>

レース本番に向けて最終確認&最終調整の日です。

もうなんだか開き直っていたというか、思っていたよりも落ち着いてる自分がいました。早入りしてゆっくりと心やモノの準備ができたのもよかったかもしれません。

 

事前予約してあるバスで朝からT1とスイムパートのあるパームコーヴに向かいます。目的は、輸送してもらったバイクの確認とバイクバッグ(T1バッグ)のセットアップ、そしてレース前にスイムコースを泳いでおく事。

 

まずはT1のバイク・バッグを指定のラックの自分の番号のフックに引っ掛けます。

バイク・バッグはスイムアップからT1への導線上で拾って着替えテントに進む。
「何列目の上・下段、何本目の支柱の辺り…」と憶えておきます。


そのまま、前日に輸送してもらったT1の自転車の状況を確認に向かいますが、なんと全車両バイクラックにブレーキレバーをひっかけてあるではないですか!

驚いた!ブレーキレバーをラックにかけてます。
国内でもあるのかな?? …にしてもみんないいバイクで走るし…。

「…コレ…大丈夫なの?!」

ShimanoSTIのシフトレバーなんかやや噛みつき状態です。

 

…でもコレ、風で動いちゃって隣の車両とぶつかったりしないし、サドルを引っ掛けるよりも整然とバイクを並べられて勝手は良さそうです。

 

ラックから降ろして車体やレバーを確認します。

 

ホイールもきれいに回るしハンドルやレバー操作も問題なさそう。Garmin Edgeやボトルはレース当日にセットするのでこの日はこれで確認完了!

 

この後、運営主催のトランジション1のオリエンテーションもありましたが、それには参加せずにスイム会場に行ってとりあえず試泳です!

 

こう言ってはなんですがIM Cairnsのスイムパートの評判はそれ程良くないです。意外と透明度の低い水と、場合によっては当日遊泳禁止になり得るワニやクラゲ問題、そして過去の大会ではサーフィンができる様な高い波で苦労した話がネット上に散見されます。

 

ドキドキしながら見に行くと、…

前日の海は拍子抜けする穏やかさ。
写っているブイはIMのスイムコースで使用するもの。

…凪いでる…

 

拍子抜け。でも、レース当日にどうなるかはわからない…。

まだコース上にブイが浮いておらずコースの規模感はわかりませんでしたが、とりあえず現地の海水の味を確認する程度に泳いでみます。

でも、なんと言うか、フツウ。プールスイムみたい…。

悩み事は無さそうだったので、さっさと着替えて今度はケアンズシティのT2にラン・バッグを預けに向かいました。

 

T2はメイン会場があるフォガティーパークの中です。

ケアンズのT2ではバイクを降りたらボランティアにバイクを渡せば自分のラックまで運んでもらえるので、ラックの位置はおぼえなくてもOK。自分のラン・バッグのフックの場所とその後の導線、着替えた後のバッグはどうするのか…なんかを確認します。

 

T2のラン・バッグのハンガー
要領はバイク・バッグの時と同じ

そんなこんなで、予定されていたトランジション・バッグのセットアップは無事に終了。
明日はレース本番!!今夜はしっかりと食べて、明朝パームコーヴに向かう際に必要な持ち物を最終確認して、とにかく寝る!

 

起床時刻は朝の3時。せめて20時には就寝と行きたいところだけど、…緊張して眠れず悶々としたまま朝になっちゃうんだろうな〜…なんて思いながら帰路につきました。

 

<レース本番:”初挑戦!!『IRONMAN Cairns 2023』No.2 :スイム”>に続く

計算で紐解く"KONA"への道のり

あと何年で”KONA”レベル?

KONA(コナ)と言うのはIRONMANの世界チャンピオンを決める、ハワイ島のKonaで毎年開催されている大会の通称です。(※2022年12月現在、2023年大会は女子だけKona、男子はフランスのニースで開催されるそうです。)

 

どのレースに出ても真ん中より後ろ。自他共に認める”中の下トライアスリート”も、時にはIRONMAN完走経験のある仲間から刺激を受けて「KONAに出るのってどのくらい難しい事なんだろ…」とか、ぼんやり考えたりするわけです。

 

…いや…ボクKONA無理ですよ、とりあえず。

…つかそもそも初ロングDNFだしw

 

でもね、憧れのKONAの”What it takes(それに必要な事の意)”には多少なりとも興味があるわけです。

 

正直、持って生まれた才能もこの年齢でスピードの沼に足を踏み入れる気も無いのですが、中の下の進化のペースだとあとどのくらいでKONAクラスのスピードに辿り着けるのか…という、本当に実力があってKONAに近い人がやれば良い計算を中の下がやってみます。

 

 

”中の下”の進化速度

そもそもあんまり進化はしていないんだけどw 

パフォーマンス改善の自己評価に使えると思って、2017年以降『横浜トライアスロン(OD)』に計五回出場しています。その記録から自身の進化を計算してみます。

 

①2017年(デビュー翌年)の初OD:

Total 3:03:34 (S: 0:39:58、B: 1:28:04、R: 0:55:32)

<スイム> 2分42秒/100m 

<バイク> 平均ペース = 2分12秒/Km

<ラン>  平均ペース = 5分33秒/Km

スイムは泳いでいたのか流されていたのか…?!

ランはもっと遅かったイメージがあるのだけれど、多分最初の1年でかなり走れる様になっていたのかも…。

 

そして5年後…

 

②直近2022年の同レース:

Total 2:46:28 (S: 0:33:19、B: 1:18:41、R: 0:47:00)

<スイム> 2分13秒/100m 

<バイク> 平均ペース = 1分58秒/Km

<ラン>  平均ペース = 4分42秒/Km

スイムもバイクも、もっと速くなったイメージがあったんだけどな〜。
ランのレベルUpはわかりやすいタイムになってますね。

 

③タイムの改善幅

ここで、各パートでトライデビュー後一年毎にどのくらい速くなったかを計算します。

<スイム> 100m あたり29秒短縮/6年 (一年で約4.8秒)

<バイク> 1Kmあたり14秒短縮/6年 (一年で約2.3秒)

<ラン>  1Kmあたり51秒短縮/6年 (一年で約8.5秒)

※6年あたりで計算しているのは「トライデビューからの期間」を前提にしたから。5年の方が正しいのだけれど…。

 

まあ、パフォーマンス向上は完全リニアではないはずなのでこのペースで永遠に速くなり続ける事はあり得ないのですが、…まあこの中途半端な分析では気づかなかったことにします。

 

 

”KONA”に必要なスピード

さて、一年毎にどのくらい速くなれるかがわかったので、次にそのペースで進化していった場合、KONAに出場するのに必要なペースに達するのにあと何年かかるかを計算するわけです。

 

KONA出場に必要なペースのサンプルは、2022年のIM CairnsでKONAのスロットを獲得した選手の記録を参考にします。

 

ケアンズ大会 男性50-54歳でスロット獲得した最遅選手の記録:

Total 9:52:39 (S: 1:04:52、B:5:07:30、R: 3:32:07)

最遅なのにメチャクチャ速くてこのブログ書きながら既に笑っちゃってますが、最後まで計算しますね。

 

この選手の各パートのペース:

<スイム> およそ1分42秒/100m 

<バイク> 平均ペース = 1分43秒/Km

<ラン>  平均ペース = 5分3秒/Km

 

中の下がODでほぼ全速力で走ってもこのロングのペースに達していないですし、そもそもODの4倍以上の距離(226Km)が前提なのですが…(計算する気なくしてる)

 

はい、で…、中の下とのペースのギャップは…

<スイム> 31秒/100m 

<バイク> 15秒/Km

<ラン>  -21秒/Km (達成済み)

論理的破綻を承知の上で、上記のギャップを今までの進化のスピードを維持し埋める事ができれば一定の期間でKONAスロット獲得の”速度的最低レベル”に到達できると仮定しちゃいます。

 

そうすると、中の下がこのギャップを埋めるのに必要な時間はこうなります。

<スイム> あと7年 

<バイク> あと7年

<ラン>  0年

 

一瞬、「意外と早く達成できるんじゃね?!」なんて思ったアナタ(ワタシ)!

 

んなハズねえってw

 

正直、60歳までは頑張れば今より速くなれると信じていますし、それを目指したい。

でも、あと7年経ったら59歳…どんどん加齢も進み、中の下の進化の速度は減速の一途でしょう。

追い込んではあちこち故障し、自重すればスキルは上がらない…。加齢によっていつしかPB更新が恐ろしく難しくなるはず。もっと言うと、そもそも中の下にそこに達するだけの素質が備わっているかは不明です。もしかすると今現在のパフォーマンスで頭打ちかも…。大体、こんなにリニアなパフォーマンス向上がのぞめるならば誰も苦労しないですし、”スピード”を達成する事と”距離”を達成する事は似て非なるお話しです…。

 

<結論>

そもそもこの計算はユニットあたりのペースだけを対象にしていて距離や加齢による失速を度外視していてあまり意味がない。

ユニットあたりのペースに限って言えばあと7年でKONAのペースに達する事はできるかもしれないが、ロングの距離を前提とした計算ではない為、持久力と言うまた別の能力の向上が求められる。60歳くらいまではパフォーマンスを改善できるはずなので、大きな憧れの舞台を夢見ながらこの計算で出されたペースを指標としてトレーニングに励める事がこの分析の唯一の意義である。

なお、60代以降の選手層は急激に薄くなる為、選考枠に入れる確率自体は以降5年毎に上がる。努力を続けていればチャンスは確実に近づいてくるのも中の下トライアスリートに与えられたささやかな希望と言える。

 

頑張り続けよう。

 

あ〜、アホながらファンタジックな計算、楽しかったです。

宝くじ買った後みたいに幸せだねw

 

これからも、KONA出場を果たした皆さんを見習って精進してゆきます!

60歳以降もKONAを目指しながら頑張ろうかw

いや、まずはIRONMAN完走を目指さなきゃね!!!

『しろさとTT200』”中の下”的攻略法

第一回から三回まで連続出場&完走した『しろさとTT200』。

楽じゃない自分との戦いでしたが、中の下なりにその奥の深さがだんだんわかってきました。

chunoge.hatenablog.com

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以下、中の下トライアスリート向けの攻略法…ですが、ご興味のある方はぜひTVのバラエティー番組でも観ながら上の空で読み進めてみて下さい。

※最後の方では、禁断の鼻水問題にも少し触れます。

 

 

目標は「8時間以内に完走!」という方へ

しろさとTT200を制限時間(8時間)内で完走するには、レストの時間を含めても平均速度が25Km/hを下回らない必要があります。

 

以下、中の下が結構ギリギリなところからスタートしたのがわかる記録です…

 

第一回 7:12:31 平均 27.7km/h

    完走54名中 49位 (DNF 8名)

 

第二回 6:52:57 平均 28.6km/h

    完走102名中 92位 (DNF 26名)

 

第三回 6:44:11 平均 29.5km/h

    完走97名中74位 (DNF 46名)

 

※平均速度はGarminの記録です。

 

中の下のバイクスキルはフツウに低いです!第一回目は本当に苦しみましたが、その後第二回・三回とPBを更新できているのは多少スキルの向上もありつつ、経験とラーニングが進んで不要な失敗や無駄・ストレスを避けて走れた、つまり単純に慣れたことが大きいと思っています。

 

避けられる失敗やストレスが減るだけでより良いコンディションでのぞめるしレース中のパフォーマンスも維持しやすくなるので、それだけでも同じレースをより楽にFinishできる…と言う事で、経験者だからわかる・伝えられる情報をお話してゆきます。

 

ウェアの選択:

開催は3月 & 11月です。朝は冷えますが、午後は晴れればそこそこ暖かくなります。ボクは過去三回、上は厚手の長袖コンプレッション(またはアームウォーマー)+半袖サイクルジャージ、下はレッグウォーマーとサイクルパンツでスタートして、暑くなったらレッグウォーマーを、更に暑くなった第二回では長袖コンプレッションを脱いで半袖サイクルジャージ(+アームカバー)で走りました。

 

ただ、エリートクラスの選手ほど薄着の傾向が強いです。これはもう、最初から最後まで結構踏んで回せて体温が高いまま200Kmを走り切れる皆さんだからだと思います。TK竹谷さんとかはトライスーツにアームカバーだけでした。ただ、出走前はそこそこ冷えますので、多分、最初はホットオイルを使っていらしたのではないかと。

ストライダーの一人、TK竹谷さん この笑顔!

逆に、長袖のサイクルジャケットを着込んでる方もいましたが、必要なのはウォームアップ周回まででしょうし、速い人ほど空気抵抗も大きくなりますので長時間の着用はおすすめし難い印象です。

 

※ただし、過去三回は全て天気は晴れでした。

雨が降る場合は防寒対策無しでは寒過ぎてパフォーマンスを発揮できないかもしれませんね。

 

補給(水分と糖質):

TK竹谷さんも第三回直前の説明会でおっしゃっていましたが、気温が低いせいか夏のレースのように飲んだり食べたりしなくてもイケる場合が多いようです。

 

第三回では、中の下は水分1.75Lで200Km/6時間44分を走り切りました。ドリンクは、パラチノース入りのCHALLENGER (1.75L)に同じくCHALLENGERとMagOnのジェルを3パックずつ(計6パック)混ぜて、2000Kcal弱を水分と一緒に補いました。あと、アミノバイタルの青と赤をレース前と中盤に、固形物は自分でも信じられないけど7-Elevenのバームクーヘン1個だけ(半分ずつを二回に分けて)。栗羊羹だのくるみ餅だの、モリモリ食ってた前回までが嘘のようです…。

 

トイレ・レスト:

次にトイレを含む休憩戦略ですが、これ、大きいです!

 

中の下が第一回と二回で陥っていたのは、走り切りたいがゆえのレストの取りすぎです。脚が終わったら走れなくなると思うとどうしても早目に、少し踏んでるな〜とか、予想より疲れるな〜とか、なにかと言い訳をつけてレストを入れてしまっていました。

 

そんなの、しろさとでは当たり前なのに…です。


第一回では五回もレストを入れましたが、第三回は給水一回+トイレ一回のツー・ストップで完走しました。コンディショニング目的でのストップに意味はあると思いますが、今回特にひどいペースダウンがなかったのを考えると、自分はレストに関してはツー・ストップで十分だったと考えられます。

 

逆に言えば、第一回からもっと良いタイムで完走できていたのかもしれないですが、そこがまさに“慣れ”の成せる業なのかもしれないですし…やってみないことには…な部分ですね。

 

そもそも、トイレとレストは似て非なるものですのでトイレは行かずに済むに越したことはないと思います。また、中の下の平均速度は低いので、レスト以外に無駄に止まっている時間は短くすべきです。トイレのほか給水や補給食の補充、着替えなども、無ければタイム短縮・平均速度向上につながります。

 

ちなみにレース会場でよくあるトイレ問題ですが、スタートエリアにいくつか用意される簡易トイレよりもセルフエイド横の建物にある男女別の常設トイレの方がおすすめです。スタート前に補給食をセルフエイドに置きに行くついでにそこで用を足しておくとスタート前のストレスが一つ減らせます。

 

ただ、男女一つずつしかないので行列にならない様、あまり知られたくない情報…かな。笑

 

ペース配分(”中の下”の場合):

個人差がある部分ですが、一般的に中の下レベルの選手が200kmでちょうどオールアウトする様にイーブンペースで走り切るのは難しいです。初心者はどのみち頑張っても徐々に疲労と痛みで踏めなくなるので、自然に平均速度もケイデンスも落ちてきます。

第3回の中の下のスピードグラフ(トイレ休憩 x 2回)

同じく第3回のケイデンスグラフ

初めての200Kmならば、脚があっても前半から限界を探って頑張ったりせず、逆に疲れたと感じたら迷わずに休憩をとりながら、最初の100Kmまでは少しでも踏んでいると思ったらギアを一速落とすくらいの気持ちで走るのが良さそうです。

 

後半は、頑張って前半のペースをキープ”しようと”してみてください。実際、どんどん疲れてきてペースも落ちてきますが、「もうダメかも…」と思ってもけっこうそれが”しろさとではフツウ”です。下り坂で一旦脚を止めて休んだり、前半の休憩回数を超えてもいいので無理をせずに短くレストを入れながらストレッチと自分的に元気が出る補給食を摂って、制限時間に間に合わなくてもいいのでどこまで行けるのかを試すつもりで走ってみてください。

 

どうしても間に合わないと思ったら、目的を「8時間で何キロ走れるか」に変更して頑張ってみて下さい。必ず次につながります!

 

車両の仕様:

ドリンクホルダーは補給(給水)2回で1.75Lしか飲まなかったので一つで足りました。中の下はXLabのトーピードだけです。愛車にはダウンチューブにもう一つケージがありましたが、外しておけばよかった…。暑ければかけ水用にあってもいいですが、過去3回に限って言えば不要でした。

 

DHバーは役に立ちます。無しの方もいますが、中の下レベルの平均速度が低くて(30Km/h以下)DHポジションをとっても効果があまりない選手でも、しろさとの周回コースは多かれ少なかれ必ず決まった場所で”風”が吹いています。ノンドラフティングのルールがあるので、中の下としては向かい風対策として非常に重要な装備でした。

 

ちなみに、中の下の様なドロップハンドル+DHバーの選手はしろさとではもはや少数派です。中の下の車両の価格の何倍もするTTエアロにディスクホイールのガチな選手がたくさんいますので、少々場違いに感じる時もありました。

でも、同時にめちゃくちゃセクシーな往年のアルミ(クロモリ?)ロードで挑戦しているライダーも見かけます。予算があるならばフレームの買い替えや高額カスタムは嬉しいですが、…しろさとではどのみち最後は自身との戦いになります…。現状の仕様できちんと整備をして、いつもの自分とバイクで挑戦する事に大きな意味を感じます。

 

コースの特徴(クセ)と対策:

コース上に段差らしい段差はなく、一般道ではないのでガラスやクギも落ちていなさそうです。パンク修理している人は…見たことあったかな??リム打ちやサイドカットの可能性は低いので、一般的にパンク修理キットはセルフエイドステーションに残して出走してよい気がしています。

 

ところで、しろさとはまっ平ではありません。

確かに平坦基調ではありますが、ダンシングしてもよさそうな短い上りや、足を休ませる事ができる程度の下りがあって、とはいえ”傾斜度”を語るには坂が短すぎる様なわずかにローリングヒルの構成です。

公式サイトの動画から 計測ライン直前の上り

 

参考までに、第3回の中の下の踏み具合はこんな感じでした。

上り(紫や赤)は三箇所 グレーや青は下りや追い風

コースは時計回りで、ピンが計測ラインです。際立った上り坂は3つあります。

 

① 計測ラインの手前(急・短)

② ピンの右下(緩・長)

③ 裏ストレート中央過ぎてすぐ(急・短)

 

この3つの”紫”がしろさとのちょっとした上り坂です。さほど長い坂ではないので、高速の選手ならば惰性でほとんど登れそうです。…が、中の下程度(平均速度30Km/h以下)だと、疲労で集中力が欠けてくる後半はシフトダウンのタイミングを誤ると大失速してしまうので注意が必要でした。

 

それからもう一つ…。

過去3回、しろさとはいつもどこかしらまあまあな風が吹いていました。

周回コースですから、ある区間が向かい風ならその反対側は追い風です。気象条件は不確定要素ですが、35周も走っていると風も”ある程度予測できるコース条件”になってきます。「もうすぐ向かい風エリアだから一速落とそう…」とか、「ここの追い風で次の坂までにスピードをのせておこう!」といった感じで学習する事ができるのも、しろさと特有の走り方だと思います。

 

想定されるトラブルと準備:

5時間でFinishするエリート選手も8時間かかる選手も、全員、多かれ少なかれ疲労や様々な痛みと戦いながらのFinishをしていると思います。そりゃそうです、200Kmも走ればふつうは無傷ではいられません…。

 

擦過傷:

いつにも増してウェアやシューズ、サドルと擦れる部分がやられるので走り出す前に重点的にワセリンを塗ります。特にDHポジションをとるといつもとは少し違った部分が擦れるので注意が必要です。肌はもちろん、ウェアの繊維に刷り込む様に塗布すると、しろさとの季節はそれほど汗で流れないので1日効果が続きます。

 

筋肉:

当然ですが脚も腰も本当に疲れ切ります。とりあえず、DHポジションが楽にとれて、且ついかに楽に回せるかで疲労や痛みは緩和できるので、事前にDHポジション中心のフィッティングをしてみましょう。

 

個人的見解ですが「教科書通りのポジション」が楽とは限らないです。DHポジションもケイデンスも「しろさとでは自分にとって一番無駄な力の入らないポジション」を探すのが正解だと考えます。事前にしっかりと時間をかけてセッティングを出してみて下さい。特に、サドルの高さ、前後位置、そして角度の調整での効率Upが顕著かと思います。DHバーの角度もエアロ効果に影響しますが、中の下にはどの角度が良いのか知る方法がありません…。まずは、安全を考えて前方の視野確保に重点をおいています。

 

その他、心の準備…:

上記に関係しますが、中の下がしろさとで際立って感じるのは、首の疲れです。普段の公道での練習ではまずできないDHポジションを8時間近く続けるので当然と言えば当然です。

 

上目遣いで走り続けますが、基本はDHポジションをとった際に「3秒(進んだ)先が視界に入っている事」なのだそうです。首の疲労と共に頭はあげにくくなってきますので、過去三回、TT終盤でコースが空いてくる頃になんとなくセンターラインを真下に見ながら走り続ける時間が長くなっていました。目線が低いと斜行しやすくなりますし、危険だったと思います。長時間のDHポジションの経験が無い方は、セッティングや胸を開いた姿勢で首の力に頼らない前方確認を心がけて温存するのが良いと思います。

 

そして、禁断の鼻水問題…

中の下はアレルギー性鼻炎持ちです。しろさとは、春・秋の花粉の季節にかぶります。肌寒い時期の開催ですし、DHポジションでは鼻はずっと下を向いていますので、鼻炎持ちの皆さんはご存じの無限鼻水が垂れてきます

 

高めの心拍と呼吸数の中、鼻をすすりながら「スン…、ハァハァハァ…、スン…、ハァハァハァ…」と何時間も走っていると、もう本当にエラく体力を消耗します。

 

対策はズバリ!(世間一般で許される可能性が高い順で)以下の通りです!!

  1. とりあえず鼻をすすり続ける
  2. 鼻はすするが時々レストをとってティッシュで鼻をかむ
  3. 手鼻をかむ
  4. 何もしない

 

1.は、体力が売るほどある方、無限鼻水が全く気にならない方向けです。

 

2.は、数回のレストと対処で十分ならばよさそうですが、無限鼻水対応だとレストが増えそうです。

 

3.は、事前にYouTubeで手鼻のやり方をおぼえた上で、後方を確認して一旦コース外側に逃げて、被害者が出ない事を十分確認した上で白い目で見られながら発動します。ちなみに、手鼻はトッププロ達の嗜みだそうです。

参考(閲覧注意):

youtu.be

 

4.は、体力を全く削らずにできます。ダラダラと無限鼻水が垂れ下がりながら徐々にトップチューブ以下を汚染してゆく事になりますが、…DHポジションだと意外と誰にも気づかれません。しかし、その恍惚としたライダーと汚物に塗れたバイクの光景は他人が見てしまった際に最大の破壊力を発揮します。最終手段と心得ましょう。

 

※コロナ禍…、鼻水問題は周囲に対する十分な配慮を持って自己責任で乗り越えましょう!

 

その他の小さなストレス対策:

<絶対おすすめ> ゼッケンを両面テープでウェアに貼るのは、エリートの皆さんのあいだでは一般的な小技だそうです。意外なほどしっかりと貼付できて、信じられないけど汗や雨でも本当に全く剥がれません!!風でバタつかないので気が散らず、ゼッケンベルトや安全ピンにはないエアロ効果も期待できます。レース後も不思議なほど綺麗に、ウェアへのダメージもなく剥がせるので安心です。定番は日東電工の再剥離可能強力両面テープの5000NS。幅15〜20mm位がおすすめです。

 

<2023年3月 追記>

第五回目からゼッケンはヘルメットとシート下への貼り付けになりました。

 

ラテックスのシューズカバーは竹谷さんの真似をして今回から導入しましたが、いいですね!朝の寒さ対策にもなりますし、中の下のベルクロ2本仕様のトライアスロン向けシューズもツルピタッとしてエアロ効果もありそうです。

ただ、有料の芝生の駐車場が雨でぬかるんでいる日は要注意です。第三回では出走前にシューズの中まで水が染み込んだ状態での出走となりました。濡れた靴と靴下はラテックスの中でレース終了までグショグショのまま…。これは想定外のストレスでした。対策としては、バイクシューズの上からコンビニ袋を被せてスタートエリアに向かうか、スタートエリアで靴を履き替える…でしょうか。

 

<2023年11月 追記>

中の下の場合、ラテックスのシューズカバーはしろさと以外では使用しないため半年後に前回使ったものを使おうとすると割れや破れで使えない事がわかりました。結果的に二度続けて買い直しました。(メーカーはモデル、保管方法にもよるかもしれませんが)頻繁に使わなくて使い切りとなるとコスパはあまり良くないアイテムかもしれません。正しい保管方法やメンテナンス方法がわかったら、またここに追記します。

 

鼻炎持ちの中の下は、グローブは指長一択です。もっと言うと、鼻炎持ちの方は鼻を擦る頻度が高いので人差し指部分に厚くて硬い滑り止めとかのない肌触りの良い生地のグローブがベストです。鼻をこする度にゴワゴワと肌を傷つけずに済むので痛くありません。

※ただし、走行中にジェルなどのパウチを開封する時は指先ではなく口で噛んでする必要があるので要事前練習です!

 

最後に…

しろさとTT200は、中の下の様にロング完走を目指すトライアスリートにとってものすごく意味のある経験の場で、且つ、身近で試せるロングのバイクパートの模擬試験みたいなイベントです。もちろん、レースとして上位を目指すのも素晴らしいですが、中の下クラスは他の選手と比べてどうこうするというより、完全に自分との戦いの場にしかなりません。

 

ボク自身は初めてエントリーした時は一度に200Kmも走ったことがなかったので、完全に「修行の様な200Km TTを試してみた…」でしたが、トイレやレストの回数や給水・補給食、バイクの仕様やコースのクセが先にわかっていたらもう少し楽にFinishできたのではないかと思い、これから挑戦してみようという初心者の皆さんのヒントになればと、随分と長文ながらこのブログを書きました。

 

結果的に、最後はご自身のやり方…が一番なのかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです。皆さんのしろさとTT200が、安全で楽しいイベントになります様に…。

初ロング『2022佐渡国際トライアスロン A』<ラン編>

中の下にとって初めてのロングにして、日本最長距離で開催の『佐渡国トライアスロン』。スイムとバイクを無難にクリアして、中の下は特にトラブルもなくT2まで進んできました!

トランジションの数少ないショット

残り時間は5時間40分、脚は…なんだかちゃんと動く!!

 

「マジか!?…コレ、間に合うんじゃねぇか?!」

 

ちょっと興奮気味でアドレナリンがマシマシのT2。シューズを履き替えながら、最後のランパートを確実にこなし切るための準備を整えるのでした!!

 

 

全てはランのため!

ロングのトランジションは絶対に走らないし慌てない…。「これから一番自分を試されるフルマラソンが始まるんだ」という今日イチ冷静で真摯な意識に切り替えながら、どっかりと地面に腰を下ろして予定していた準備を進めます。

 

バイクパートは予想よりも遅かったですが、なにより無理をせずにランに脚を残すと言う、中の下的には最も重要な目標をクリアできました

 

30分程余分に時間がかかったせいで、バイク用の補給食は背中ポケットのバウムクーヘン1かけ以外全て摂取。エイドの度に水をかぶっては背中で温められてきた個包装のバウムは少し水を含んでグチャっとしてましたが、好物だし、なんとなく固形物に飢えていたのでT2を出る直前にそれを口に放り込んで甘いスペシャルドリンクで流し込みました。

 

落ち着いて最終確認…

「補給食持った。スペシャルドリンク飲んだ。帽子とサングラスOK。靴ひもの締め具合…こんなもんかな。日焼け止めは…まいっか。ゼッケンベルトを前に回して…、Oh! Garmin忘れずに押さなきゃ!」

 

ランスタートに向かって歩いている自分は、なんだか元気で余裕がありました。佐渡島を一周してから始まるフルマラソンはさすがに少し怖かったですが、予想以上に体力を残していますす。

 

知り合いがランのスタートで話しかけてくれました。こう言うのはマジでホッとします。いつもの弱っちぃ自分をアピールしつつ、内心は制限時間ギリギリだけど初ロングを完走できそうな自分に期待していました。

知り合いや仲間が一緒にいてくれるのは本当に励みになります。

ボランティアの方にあらためてホースで水をたっぷりかけてもらって、最後のフルマラソンのスタートです!!

Suwako以降、暑い日のレースでは躊躇なく水を浴びる様に…

ラン:完璧な入り

ランは一周7KMの周回コースを6周。例年は島の反対側に伸びるコースを往復するそうですが、コロナの影響でエリアを縮小した設定です。

 

いつも、ミドル以上のレースではランの最初は上手く走れません。ブリックランが足りないとかそういう事ではなく、単純にバイクで踏みすぎているからだと思うのですが最初の数キロは心拍もひどく上がるし、結構な確率で盛大な脚つり祭が開催されます…。

 

ところが、佐渡は大違い!抑えきれないアドレナリンのせいで少し入りは速過ぎましたが、脚が軽い!!全く力まずフツウに6分30秒。フルマラソンのPB平均ペースが6分10秒なので、190Kmのバイクの後とは思えない!これが度重なるGiants坂アタックの効果なのか?!

 

ピッチでもストライドでもイケそうです。でも、ここはアドレナリン効果で勘違いしている可能性もあるので、あえてペースを落としてピッチで走ります…。

Runの入り。いい感じ、でも抑えつつ…

 

時刻はまだ午後3時50分。

 

中の下のトライ人生で最も長くて完璧な一日となる予感で満ち溢れていましたが、…その予感はあっという間に崩れ去りました…

 

レースは生き物

「腹が痛い…」

 

1周目。最初の1〜2Kmは調子良く走っていたと思います。

でも、そこからはメチャクチャでした。

 

走るための集中力を刈り取る様な腹の痛みに、思わず足が止まります。

 

様子をみようと短く歩いて呼吸を整えると落ち着く感じがしたのでまた走るのですが、…やっぱり痛い。腹の真ん中辺りが、時々キリキリと痛みます。

必死に腹痛にあらがった思い出…辛い。

弱った胃腸が嫌がっているのかもと歩いたりそっと走ったりしましたが、周回最初の折り返し(沢根折り返し)に着く頃には体が折れ曲がる様な腹痛の波と軽い吐き気におそわれて、もはやレースに集中できず…。

 

「なんとかしなければ…」と、一旦レースのことは忘れて対策だけを考えます。

 

とは言え、できることと言えばトイレに行ったり、復調するまで歩くくらい。とりあえず、沢根折り返しでこのレース中で2度目のトイレに向かいます。(1回目はバイクパート後半で公衆トイレに…)

 

その際、近くで他の選手の救護を終えたTOの方に「胃腸薬はありませんか?」と聞いてみましたが、「知り合いに近くのドラッグストアに走ってもらって…」とのアドバイスでした。一緒に佐渡まで応援に来てくれていた妻がボクを見つけてくれたので、下痢や食当たりの薬を頼んだのが1周目の6Km地点。ラン開始からあっという間に1時間が経っていました。

 

T2を出る時の内に秘めた歓喜や希望は、跡形もなく吹き飛んでいました…。

2周回目に入る辺り。歩いて復調を待つしかなかった…

2周目。頑張って走っては腹痛で歩き、またトイレに入って、やっぱり腹が痛くて、歩いて、調子をみてまた走って…。自分の体との相談を繰り返していた事以外あまり憶えていません。

 

あと1Kmで3周目というところ。妻が走って買ってきてくれた薬をのんでコースの端の縁石に座って復調を待っていました。

 

長い長いレースも、終盤…。座っているボクの目の前を、足を引き摺ったり、フラフラになりながらも必死に前に進んでいる他のランナー達を見上げている時、ボロボロの彼らに今の自分には持ち得ない圧倒的な力強さと実力の差を感じてしまい、次の瞬間DNFを決意していました。

 

11時間45分22秒(Garmin) Run 14Km地点 DNF

 

トライアスロンレースでの途中棄権は、これが初めて。

妻にありがとうと伝え、謝りました。

 

脚は、まだ残っていました。

 

ロングの洗礼

ペース配分、バイクの設定や装備、補給戦略、体調管理、トラブル対応力…。

全てにおいて、ロングはショートやミドルがただ長くなっただけのレースではなかったです。ロングにはロングの闘い方があって、厄介な事にそれらは誰かに聞けば良いというものではなく、前日の準備や日頃のトレーニングでも容易にはカバーできないものばかりです。

 

初めてのトライアスロンでのDNF。ロング完走のために自分なりに頑張ってきましたし、もう少しで大きな挑戦をクリアできそうだったが故に、時間が経てば経つほど悔しくなってきます。

 

「妻が必死に走って薬を買ってきてくれたのに、なぜDNFを決意したのか…」

「なぜ他の選手と自分を比較してしまったのか…」

「もう少し待てば復調していたのではないか…」

「例え制限時刻に間に合わないとわかっていても、前に進み続けるべきではなかったのか…」

 

自分自身の問いかけに泣きそうになります。

 

授業料は払いました…

今となっては腹痛の原因はよくわかりません。弱った胃腸だったかもしれないし、背中で8時間温められた湿ったバウムクーヘントランジションで半日日光に当たっていたスペシャルドリンクだったかもしれません。

 

もう、原因の可能性だけは心の片隅に残しつつ、次のことを考えます。

 

とりあえず、今後はやばそうな補給食やドリンクには手をつけない事にしますが、腹痛が始まってしまったらどうするのか…という準備も考えたいです。それは、そもそも自分の胃腸がロングに耐えられるものなのか…も含めてです。

 

今回のロングDNFの教訓は、中の下の記憶に深々と刻み込まれました。もはや佐渡の完走は死ぬまでに必ず達成しなければならない事の一つとなっています。

 

これは、IRONMAN完走と同じくらいのモチベーションと言って良さそうです。

幸い、今回のトラブルは耐え難い痛みを伴うものではありつつ、あの痛みさえなければ脚がFinishゲートに向かって中の下を運んでくれた可能性の高いトラブルだった様に思っています。(甘いかな…?)

 

次はああならない様に、そしてもしもまたああなってしまった場合の対策と一緒に、佐渡完走という落とし物はいつか必ず探しに戻る事にします。

 

次のロングは2023年6月、Cairns!!

佐渡には必ずまた挑戦しますが、中の下の本来のロング完走の夢を前にして目標のブレや注力の分散は、イヤです。一旦、またCairnsをメインの目標に設定して来年六月までにもっと強くなってのぞめる様に日々精進してゆく決意です。

 

佐渡のDNF以降、なんとなくトレーニングに力が入ってしまい、レストが入れられなくなっています…。怪我をしない様に、オフシーズンはベースアップのトレーニングをしっかりと進めます。