中の下アイアンマンの作り方

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『しろさとTT200』”中の下”的攻略法

第一回から三回まで連続出場&完走した『しろさとTT200』。

楽じゃない自分との戦いでしたが、中の下なりにその奥の深さがだんだんわかってきました。

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以下、中の下トライアスリート向けの攻略法…ですが、ご興味のある方はぜひTVのバラエティー番組でも観ながら上の空で読み進めてみて下さい。

※最後の方では、禁断の鼻水問題にも少し触れます。

 

 

目標は「8時間以内に完走!」という方へ

しろさとTT200を制限時間(8時間)内で完走するには、レストの時間を含めても平均速度が25Km/hを下回らない必要があります。

 

以下、中の下が結構ギリギリなところからスタートしたのがわかる記録です…

 

第一回 7:12:31 平均 27.7km/h

    完走54名中 49位 (DNF 8名)

 

第二回 6:52:57 平均 28.6km/h

    完走102名中 92位 (DNF 26名)

 

第三回 6:44:11 平均 29.5km/h

    完走97名中74位 (DNF 46名)

 

※平均速度はGarminの記録です。

 

中の下のバイクスキルはフツウに低いです!第一回目は本当に苦しみましたが、その後第二回・三回とPBを更新できているのは多少スキルの向上もありつつ、経験とラーニングが進んで不要な失敗や無駄・ストレスを避けて走れた、つまり単純に慣れたことが大きいと思っています。

 

避けられる失敗やストレスが減るだけでより良いコンディションでのぞめるしレース中のパフォーマンスも維持しやすくなるので、それだけでも同じレースをより楽にFinishできる…と言う事で、経験者だからわかる・伝えられる情報をお話してゆきます。

 

ウェアの選択:

開催は3月 & 11月です。朝は冷えますが、午後は晴れればそこそこ暖かくなります。ボクは過去三回、上は厚手の長袖コンプレッション(またはアームウォーマー)+半袖サイクルジャージ、下はレッグウォーマーとサイクルパンツでスタートして、暑くなったらレッグウォーマーを、更に暑くなった第二回では長袖コンプレッションを脱いで半袖サイクルジャージ(+アームカバー)で走りました。

 

ただ、エリートクラスの選手ほど薄着の傾向が強いです。これはもう、最初から最後まで結構踏んで回せて体温が高いまま200Kmを走り切れる皆さんだからだと思います。TK竹谷さんとかはトライスーツにアームカバーだけでした。ただ、出走前はそこそこ冷えますので、多分、最初はホットオイルを使っていらしたのではないかと。

ストライダーの一人、TK竹谷さん この笑顔!

逆に、長袖のサイクルジャケットを着込んでる方もいましたが、必要なのはウォームアップ周回まででしょうし、速い人ほど空気抵抗も大きくなりますので長時間の着用はおすすめし難い印象です。

 

※ただし、過去三回は全て天気は晴れでした。

雨が降る場合は防寒対策無しでは寒過ぎてパフォーマンスを発揮できないかもしれませんね。

 

補給(水分と糖質):

TK竹谷さんも第三回直前の説明会でおっしゃっていましたが、気温が低いせいか夏のレースのように飲んだり食べたりしなくてもイケる場合が多いようです。

 

第三回では、中の下は水分1.75Lで200Km/6時間44分を走り切りました。ドリンクは、パラチノース入りのCHALLENGER (1.75L)に同じくCHALLENGERとMagOnのジェルを3パックずつ(計6パック)混ぜて、2000Kcal弱を水分と一緒に補いました。あと、アミノバイタルの青と赤をレース前と中盤に、固形物は自分でも信じられないけど7-Elevenのバームクーヘン1個だけ(半分ずつを二回に分けて)。栗羊羹だのくるみ餅だの、モリモリ食ってた前回までが嘘のようです…。

 

トイレ・レスト:

次にトイレを含む休憩戦略ですが、これ、大きいです!

 

中の下が第一回と二回で陥っていたのは、走り切りたいがゆえのレストの取りすぎです。脚が終わったら走れなくなると思うとどうしても早目に、少し踏んでるな〜とか、予想より疲れるな〜とか、なにかと言い訳をつけてレストを入れてしまっていました。

 

そんなの、しろさとでは当たり前なのに…です。


第一回では五回もレストを入れましたが、第三回は給水一回+トイレ一回のツー・ストップで完走しました。コンディショニング目的でのストップに意味はあると思いますが、今回特にひどいペースダウンがなかったのを考えると、自分はレストに関してはツー・ストップで十分だったと考えられます。

 

逆に言えば、第一回からもっと良いタイムで完走できていたのかもしれないですが、そこがまさに“慣れ”の成せる業なのかもしれないですし…やってみないことには…な部分ですね。

 

そもそも、トイレとレストは似て非なるものですのでトイレは行かずに済むに越したことはないと思います。また、中の下の平均速度は低いので、レスト以外に無駄に止まっている時間は短くすべきです。トイレのほか給水や補給食の補充、着替えなども、無ければタイム短縮・平均速度向上につながります。

 

ちなみにレース会場でよくあるトイレ問題ですが、スタートエリアにいくつか用意される簡易トイレよりもセルフエイド横の建物にある男女別の常設トイレの方がおすすめです。スタート前に補給食をセルフエイドに置きに行くついでにそこで用を足しておくとスタート前のストレスが一つ減らせます。

 

ただ、男女一つずつしかないので行列にならない様、あまり知られたくない情報…かな。笑

 

ペース配分(”中の下”の場合):

個人差がある部分ですが、一般的に中の下レベルの選手が200kmでちょうどオールアウトする様にイーブンペースで走り切るのは難しいです。初心者はどのみち頑張っても徐々に疲労と痛みで踏めなくなるので、自然に平均速度もケイデンスも落ちてきます。

第3回の中の下のスピードグラフ(トイレ休憩 x 2回)

同じく第3回のケイデンスグラフ

初めての200Kmならば、脚があっても前半から限界を探って頑張ったりせず、逆に疲れたと感じたら迷わずに休憩をとりながら、最初の100Kmまでは少しでも踏んでいると思ったらギアを一速落とすくらいの気持ちで走るのが良さそうです。

 

後半は、頑張って前半のペースをキープ”しようと”してみてください。実際、どんどん疲れてきてペースも落ちてきますが、「もうダメかも…」と思ってもけっこうそれが”しろさとではフツウ”です。下り坂で一旦脚を止めて休んだり、前半の休憩回数を超えてもいいので無理をせずに短くレストを入れながらストレッチと自分的に元気が出る補給食を摂って、制限時間に間に合わなくてもいいのでどこまで行けるのかを試すつもりで走ってみてください。

 

どうしても間に合わないと思ったら、目的を「8時間で何キロ走れるか」に変更して頑張ってみて下さい。必ず次につながります!

 

車両の仕様:

ドリンクホルダーは補給(給水)2回で1.75Lしか飲まなかったので一つで足りました。中の下はXLabのトーピードだけです。愛車にはダウンチューブにもう一つケージがありましたが、外しておけばよかった…。暑ければかけ水用にあってもいいですが、過去3回に限って言えば不要でした。

 

DHバーは役に立ちます。無しの方もいますが、中の下レベルの平均速度が低くて(30Km/h以下)DHポジションをとっても効果があまりない選手でも、しろさとの周回コースは多かれ少なかれ必ず決まった場所で”風”が吹いています。ノンドラフティングのルールがあるので、中の下としては向かい風対策として非常に重要な装備でした。

 

ちなみに、中の下の様なドロップハンドル+DHバーの選手はしろさとではもはや少数派です。中の下の車両の価格の何倍もするTTエアロにディスクホイールのガチな選手がたくさんいますので、少々場違いに感じる時もありました。

でも、同時にめちゃくちゃセクシーな往年のアルミ(クロモリ?)ロードで挑戦しているライダーも見かけます。予算があるならばフレームの買い替えや高額カスタムは嬉しいですが、…しろさとではどのみち最後は自身との戦いになります…。現状の仕様できちんと整備をして、いつもの自分とバイクで挑戦する事に大きな意味を感じます。

 

コースの特徴(クセ)と対策:

コース上に段差らしい段差はなく、一般道ではないのでガラスやクギも落ちていなさそうです。パンク修理している人は…見たことあったかな??リム打ちやサイドカットの可能性は低いので、一般的にパンク修理キットはセルフエイドステーションに残して出走してよい気がしています。

 

ところで、しろさとはまっ平ではありません。

確かに平坦基調ではありますが、ダンシングしてもよさそうな短い上りや、足を休ませる事ができる程度の下りがあって、とはいえ”傾斜度”を語るには坂が短すぎる様なわずかにローリングヒルの構成です。

公式サイトの動画から 計測ライン直前の上り

 

参考までに、第3回の中の下の踏み具合はこんな感じでした。

上り(紫や赤)は三箇所 グレーや青は下りや追い風

コースは時計回りで、ピンが計測ラインです。際立った上り坂は3つあります。

 

① 計測ラインの手前(急・短)

② ピンの右下(緩・長)

③ 裏ストレート中央過ぎてすぐ(急・短)

 

この3つの”紫”がしろさとのちょっとした上り坂です。さほど長い坂ではないので、高速の選手ならば惰性でほとんど登れそうです。…が、中の下程度(平均速度30Km/h以下)だと、疲労で集中力が欠けてくる後半はシフトダウンのタイミングを誤ると大失速してしまうので注意が必要でした。

 

それからもう一つ…。

過去3回、しろさとはいつもどこかしらまあまあな風が吹いていました。

周回コースですから、ある区間が向かい風ならその反対側は追い風です。気象条件は不確定要素ですが、35周も走っていると風も”ある程度予測できるコース条件”になってきます。「もうすぐ向かい風エリアだから一速落とそう…」とか、「ここの追い風で次の坂までにスピードをのせておこう!」といった感じで学習する事ができるのも、しろさと特有の走り方だと思います。

 

想定されるトラブルと準備:

5時間でFinishするエリート選手も8時間かかる選手も、全員、多かれ少なかれ疲労や様々な痛みと戦いながらのFinishをしていると思います。そりゃそうです、200Kmも走ればふつうは無傷ではいられません…。

 

擦過傷:

いつにも増してウェアやシューズ、サドルと擦れる部分がやられるので走り出す前に重点的にワセリンを塗ります。特にDHポジションをとるといつもとは少し違った部分が擦れるので注意が必要です。肌はもちろん、ウェアの繊維に刷り込む様に塗布すると、しろさとの季節はそれほど汗で流れないので1日効果が続きます。

 

筋肉:

当然ですが脚も腰も本当に疲れ切ります。とりあえず、DHポジションが楽にとれて、且ついかに楽に回せるかで疲労や痛みは緩和できるので、事前にDHポジション中心のフィッティングをしてみましょう。

 

個人的見解ですが「教科書通りのポジション」が楽とは限らないです。DHポジションもケイデンスも「しろさとでは自分にとって一番無駄な力の入らないポジション」を探すのが正解だと考えます。事前にしっかりと時間をかけてセッティングを出してみて下さい。特に、サドルの高さ、前後位置、そして角度の調整での効率Upが顕著かと思います。DHバーの角度もエアロ効果に影響しますが、中の下にはどの角度が良いのか知る方法がありません…。まずは、安全を考えて前方の視野確保に重点をおいています。

 

その他、心の準備…:

上記に関係しますが、中の下がしろさとで際立って感じるのは、首の疲れです。普段の公道での練習ではまずできないDHポジションを8時間近く続けるので当然と言えば当然です。

 

上目遣いで走り続けますが、基本はDHポジションをとった際に「3秒(進んだ)先が視界に入っている事」なのだそうです。首の疲労と共に頭はあげにくくなってきますので、過去三回、TT終盤でコースが空いてくる頃になんとなくセンターラインを真下に見ながら走り続ける時間が長くなっていました。目線が低いと斜行しやすくなりますし、危険だったと思います。長時間のDHポジションの経験が無い方は、セッティングや胸を開いた姿勢で首の力に頼らない前方確認を心がけて温存するのが良いと思います。

 

そして、禁断の鼻水問題…

中の下はアレルギー性鼻炎持ちです。しろさとは、春・秋の花粉の季節にかぶります。肌寒い時期の開催ですし、DHポジションでは鼻はずっと下を向いていますので、鼻炎持ちの皆さんはご存じの無限鼻水が垂れてきます

 

高めの心拍と呼吸数の中、鼻をすすりながら「スン…、ハァハァハァ…、スン…、ハァハァハァ…」と何時間も走っていると、もう本当にエラく体力を消耗します。

 

対策はズバリ!(世間一般で許される可能性が高い順で)以下の通りです!!

  1. とりあえず鼻をすすり続ける
  2. 鼻はすするが時々レストをとってティッシュで鼻をかむ
  3. 手鼻をかむ
  4. 何もしない

 

1.は、体力が売るほどある方、無限鼻水が全く気にならない方向けです。

 

2.は、数回のレストと対処で十分ならばよさそうですが、無限鼻水対応だとレストが増えそうです。

 

3.は、事前にYouTubeで手鼻のやり方をおぼえた上で、後方を確認して一旦コース外側に逃げて、被害者が出ない事を十分確認した上で白い目で見られながら発動します。ちなみに、手鼻はトッププロ達の嗜みだそうです。

参考(閲覧注意):

youtu.be

 

4.は、体力を全く削らずにできます。ダラダラと無限鼻水が垂れ下がりながら徐々にトップチューブ以下を汚染してゆく事になりますが、…DHポジションだと意外と誰にも気づかれません。しかし、その恍惚としたライダーと汚物に塗れたバイクの光景は他人が見てしまった際に最大の破壊力を発揮します。最終手段と心得ましょう。

 

※コロナ禍…、鼻水問題は周囲に対する十分な配慮を持って自己責任で乗り越えましょう!

 

その他の小さなストレス対策:

<絶対おすすめ> ゼッケンを両面テープでウェアに貼るのは、エリートの皆さんのあいだでは一般的な小技だそうです。意外なほどしっかりと貼付できて、信じられないけど汗や雨でも本当に全く剥がれません!!風でバタつかないので気が散らず、ゼッケンベルトや安全ピンにはないエアロ効果も期待できます。レース後も不思議なほど綺麗に、ウェアへのダメージもなく剥がせるので安心です。定番は日東電工の再剥離可能強力両面テープの5000NS。幅15〜20mm位がおすすめです。

 

<2023年3月 追記>

第五回目からゼッケンはヘルメットとシート下への貼り付けになりました。

 

ラテックスのシューズカバーは竹谷さんの真似をして今回から導入しましたが、いいですね!朝の寒さ対策にもなりますし、中の下のベルクロ2本仕様のトライアスロン向けシューズもツルピタッとしてエアロ効果もありそうです。

ただ、有料の芝生の駐車場が雨でぬかるんでいる日は要注意です。第三回では出走前にシューズの中まで水が染み込んだ状態での出走となりました。濡れた靴と靴下はラテックスの中でレース終了までグショグショのまま…。これは想定外のストレスでした。対策としては、バイクシューズの上からコンビニ袋を被せてスタートエリアに向かうか、スタートエリアで靴を履き替える…でしょうか。

 

<2023年11月 追記>

中の下の場合、ラテックスのシューズカバーはしろさと以外では使用しないため半年後に前回使ったものを使おうとすると割れや破れで使えない事がわかりました。結果的に二度続けて買い直しました。(メーカーはモデル、保管方法にもよるかもしれませんが)頻繁に使わなくて使い切りとなるとコスパはあまり良くないアイテムかもしれません。正しい保管方法やメンテナンス方法がわかったら、またここに追記します。

 

鼻炎持ちの中の下は、グローブは指長一択です。もっと言うと、鼻炎持ちの方は鼻を擦る頻度が高いので人差し指部分に厚くて硬い滑り止めとかのない肌触りの良い生地のグローブがベストです。鼻をこする度にゴワゴワと肌を傷つけずに済むので痛くありません。

※ただし、走行中にジェルなどのパウチを開封する時は指先ではなく口で噛んでする必要があるので要事前練習です!

 

最後に…

しろさとTT200は、中の下の様にロング完走を目指すトライアスリートにとってものすごく意味のある経験の場で、且つ、身近で試せるロングのバイクパートの模擬試験みたいなイベントです。もちろん、レースとして上位を目指すのも素晴らしいですが、中の下クラスは他の選手と比べてどうこうするというより、完全に自分との戦いの場にしかなりません。

 

ボク自身は初めてエントリーした時は一度に200Kmも走ったことがなかったので、完全に「修行の様な200Km TTを試してみた…」でしたが、トイレやレストの回数や給水・補給食、バイクの仕様やコースのクセが先にわかっていたらもう少し楽にFinishできたのではないかと思い、これから挑戦してみようという初心者の皆さんのヒントになればと、随分と長文ながらこのブログを書きました。

 

結果的に、最後はご自身のやり方…が一番なのかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです。皆さんのしろさとTT200が、安全で楽しいイベントになります様に…。