中の下アイアンマンの作り方

IRONMANがみんな凄いわけじゃ無い!中の下トライリーマンがちゃっかりIRONMANを目指すブログ

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オープンウォーター5年目でわかった事

OWSデビューから5年…

 

いつかはIRONMANロングを完走という夢を小脇に抱え、はや5年…。

 

もう初級者とはいえないまでも、中級者として胸を張るのもおこがましいレベルですが、

同じ様な夢を持って頑張っている初心者の皆さんに伝えたいOWSのヒントをまとめてみます。

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未知の世界だったOWS、今思うのは…



 

絶対に頑張らないこと

「レースでは絶対頑張る!」

精神論で安全が確保できるのであればそれでもいいのですが、多くの場合、初心者のOWSは頑張れば頑張るほど危険ですし、空回りしがちだと思います。波やウネリ、潮の流れ、他の選手との干渉、水中の視界は悪く、海上の目標物は遠く小さく、立ち上がって休憩をとることもできない…

 

そんなOWSを伴うレースでは、最初は絶対に頑張りすぎずに、

初心者は自分の能力の半分程度で泳ぎ始める

どうやらこれが正解のようです。

 

トライアスロン完走という大きな夢を持っての冒険です。初めてのレースではアドレナリンが過剰分泌されます。僕も例外ではなかったですが、どなたに聞いても多かれ少なかれ、初レースは心拍も呼吸も乱れまくってこわい思いをしている様です。

 

練習と違って想定外のことも起こりますし、プールと違って色々なスキルを同時に頻繁に発動しないといけないレース下では自分の能力の半分くらいで泳ぎ始めて、周囲や自身をしっかりと観察できる余裕を持ちながら最初のブイまで進んでみると、その頃には集団がバラけてきて自分のペースで泳ぎやすくなっている事が多い様に思います。

 

「レースの入りは落ち着いて楽に…」は、初レース完走のための堅牢な戦略の一部なのです。

 

ゴーグルは良いクッション+幅広&クリアレンズがオススメ 

 わかります!ゴーグルは気軽で比較的手軽に交換のきくこだわりギア…。

ハーフミラーで水の抵抗が少ない競泳用のティアドロップなんかが、プールでマジ輝いて見えるんですよねw

 

でも、実戦はカッコウではなく機能と性能が優先されるベキです。

 

これは特に普段は眼鏡矯正だけどレース時は裸眼にゴーグルという方にオススメなのですが、ゴーグルは視野が広くてクリアなレンズが一番です!

 

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中の下オススメのAqua Shere


OWSでは遠くにあるブイがプールの底の線やコースロープの代わりです。目から入ってくる情報がなければ脳で正しい判断もできない。ハーフミラーレンズって、めちゃくちゃいい天気で日光が眩しすぎる時は楽ですが、映像の情報(光)の一部がレンズで反射して網膜に到達しない作りになっています。そのため、自然から得られる視界の情報(光量や色)の一部を失った状態でしか脳は状況を認識できません。脳が少しでも多くの視覚情報を認識するためにはできるだけクリアで視野が広く、屈折のないレンズの選択が正しいのです。

 

屈折のない広角レンズが良いのは、初心者の場合は斜行しやすく探しているブイがヘッドアップの際に真正面にある事は少ないからです。レンズの視野が狭いと、短いヘッドアップの間にブイを認識しにくいので、幅の広めのレンズ、特に構造上のつなぎ目が無い一枚レンズのモデルが役に立ちます。

 

更に、バトルで他の選手とぶつかる事もありますし、初心者はODの1.5Kmだと30分以上泳ぎ続けるので、クッション無しのゴーグルは食い込んできて痛いです。長時間、安全に泳ぐならば良いクッションはストレスや怪我の無いレースには必須です。

 

「でも、眩しい日にクリアじゃ目も開けられないんじゃないか?」

 

一理あります。実際、レース中に眩しい日はあります。でも、中の下自身は前方のブイの先やブレス側に太陽があり続けるような直線コースだけの設定のレースは経験した事が無いですし、周回コースならば眩しくない区間が半分以上です。もっと言うと、ハーフミラーであってもギラギラ太陽の手前のブイはどのみち直視できません。

 

ただ、海外のめちゃくちゃ強い紫外線の中で長時間競技をする場合は選択肢としてハーフミラーを持っていても良いかもしれませんね。これは、アメリカみたいにサングラスをするのが一般的な地域で言える事かと思います。

 

参加費を払ってでも、グループOWSに参加すべき

OWSの際、一人でやるのと上級者の指導が伴ったグループでやるのとでは、安心感が全く違います。安心できなければOWSが嫌いになっていたかもしれないし、一人で我流の練習をしていても安全のための知識も得られなかった上にパフォーマンスを上げる前に保守的な練習、あるいは危険なばかりの練習になってしまっていたかもしれません。

 

正直、OWSの練習会はシーズン中毎週末参加できるほど安くないです(4000円〜が相場かな?)。しかし、シーズン中にレースを除いて最低でも2−3回はグループでOWSの練習ができると有効なOWSの実績になる様に思います。

 

そもそも、一人で海を泳ぐという行為は、どんなに慣れた人でもどんなに静かな海であっても推奨されていないと思います。特に、中の下みたいな初心者は安全とスキルを買うつもりで、最初は自己投資の意味で上級者帯同のOWS練習会から始めるべきだと思います。

 

※ここで言う初心者とは、…

・「プールなら1500m泳げる」〜「泳ぎは得意だがプール限定」

・「ヘッドアップ”ができない」〜「頻繁にやると息があがる」

・ウェットスーツを着ると腕が疲れやすい(正しく着れない)

・足がつかない場所で苦しくなると焦って心拍が上がってしまう

・他の選手と接触すると慌ててしまう

ざっくり、泳力と知識・経験のレベルで区分けするとこんなイメージだと思います。

 

いつでも実績ありの距離でデビューorレベルアップ

これは中の下的には一つの大切な”レース参加の条件”なのですが、初心者はしっかり計画を立てていないと未達になりがちなポイントです。

 

地上でやるマラソンならば、普段走っていない人がフルマラソンに出ても足が痛くなって苦しんでも、我慢と根性で完走できるかもしれません。でも、海の上では初めて挑戦する距離で両脚が攣ったりした場合に倒れこんで耐えながら回復を待つことはできません。

 

ですので、OWSでは実績のみがレースで完泳できる根拠となり得ます。

 

OD (Swim=1.5Km)に出るならば、フロートを持ったり上級者帯同のもと事前に海で2.0Km以上泳いでみたり、次にロング(Swim=3.8Km)に挑戦するならば先に5KmのOWSに出場しておこう…と言うことです。

 

ゴルフで言うと、ドライバーに苦手意識がある人はなかなかその苦手意識を払拭できないままの事が多いですよね。

 

なぜだとおもいますか?

 

答えは、

「1番ウッド(ドライバー)より長いクラブが存在しないから」

…という考え方です。

 

では、もしも0(ゼロ)番ウッドが存在したら?

初心者にとって0番が一番苦手なクラブになります。そして、ゼロの練習を一生懸命するうちにドライバーはゼロより精神的にイージーなチョイスになるわけです。

 

OWSの距離的に未知の領域を作らないことで、僕はタイムはともかく「このレースのスイムパートは泳ぎ切れるはず…」と少なからずの自信と実績をもって臨んできました。この考え方は心からおすすめできます。

 

参考までに、以下、中の下のレース遍歴です。

 ===

「1000mまでは海で泳げた!でも1500mも泳げるだろうか?!」

→ まずは1000m以下のプールスイム+スプリントのOWSでデビュー

 

<2016年> 

昭和記念公園トライアスロン  750m(プール)

続いて、横浜シーサイドトライアスロン  800m(OWS)

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昭和記念公園トライの(流れを止めた)周回プールは、多くのエイジグルーパーのデビューレース

 

<2017年>

OWSセミナーで1500m以上のスイムを経験したうえで…

初ODのITU横浜トライアスロン 1,500m(OWS)

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横浜は地元で開催されるし、非常に華やかなお気に入りのレース

 

<2018年>

家族で4連泊の海キャンプに行き、毎日2000〜3000mのOWSをして過ごした年は…

 

湘南オープンウォータースイミング 2,500m(OWS)

一回ODに戻って、ITU横浜トライアスロン 1,500m(OWS)

ちょっと距離を伸ばして、IRONMAN70.3 Japan 1,900m(OWS)

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IRONMAN70.3 Japanは縦に長いコースの往復。ブイの間が遠い印象

 

<2019年>

ここまでくるとODやミドルは”実績あり”という意識に変わっていたと思います。

 

ITU横浜トライアスロン 1,500m(OWS)

IRONMAN70.3 Japan 1,900m(OWS)

ただ、流石に5000m連続してのOWSの練習というのはできなかったので、

湘南オープンウォータースイミング茅ヶ崎 5,000m(OWS)は、この頃には”ゆっくりならば数時間継続して泳ぎ続けられる自信”が身についていたので、ブッツケになりました。

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烏帽子岩って泳いで行けるとこだったんだ…?!」と思えた湘南OWS茅ヶ崎

 

こんな感じで、2019年までに5000mのOWS大会まで距離を伸ばしてきました。ちなみに、茅ヶ崎は制限時間ギリギリでしたが、この完泳のおかげでIMロングの3800mという距離に対する不安や違和感(不相応なイメージ)は非常に軽くなりました。中の下的IMロングへの布石レースの一つですね。

 

この距離的なステップアップが早いか遅いかは、その人の能力や練習量や与えられた環境、場合によっては冒険心や自信によって変わってくると思いますが、少しでもスイムに苦手意識があったり、少しでも自信をもってレースに臨みたい方には有効なアプローチだと思います。

   

とにかく泳げ!

「ハイエルボーが基本!」

「ドラフティングを使って楽に遠くに!」

「海ではロールやプッシュは控えめに…。」

「左右両側でブレスできると便利だよ。」

「ツービートでバイクとランにしっかり足を残そう。」

 

…とかく理論的になってしまいがちな我々日本人ですが、中の下も最初は知識先行でスイムをマスターしようとする傾向にありました。そもそもまともに泳げていないのに、自身には難しいスキルを身につける事でより楽に泳ごうとしていたのですが、中の下的には頭でっかちにしかなれませんでした。

 

僕の場合、最初の泳力が低すぎたのでそのスキルの目的や狙った効果を実感できるほど上手く身体を動かせなかった(正しく実践できなかった)ですし、その効果を十分引き出せているのかの判断もできていなかったと思います。

 

色々言っていないで、身体が浮くとはどういうことかを理解できる位までとにかく泳いで、体力・筋力、最低限の泳力を身につける方が新しい知識やスキルを自在に試して正しく自分のものにしやすいと感じました。

 

又聞きの海外選手の言葉ですが、

「OWSをマスターするなら、まず海で1万時間泳げばいい…」

YouTubeを探せばスイムのスキルや知識の動画で溢れかえっていますが、昨日今日に観たり聞いたりした知識やスキルの一つや二つで、初心者が翌日から5000m泳げる様になれるわけではないですよね。知識も重要ですし知らないと危険な事もありますが、まずはそこに身を置いてみてから人間の生態系ではない場所で自分ができる事をしっかりと見極めながら経験を積むのが重要だと思います。

 

 まとめ

ざっくりしていますしこれが全てでもないのですが、以上が中の下が5年間OWSをやってきて初心者だった自分に教えてあげたい項目です。

 

・初レースでは落ち着いて頑張らないことを頑張る

・かっこうよりも実用・実践的な装備で臨む

・初期のOWSの経験は費用をかけてでも手に入れると安心

・経験済みの距離ならば自信をもってレースに臨める

・スキルもいいけど、まずはどんどん泳いで水の中の自分を知ろう!

 

万人向けではないかもしれませんが、OWSを始める皆さんの参考になると嬉しいです。

 

中の下は、引き続きホビー・アスリートとして自分のタイムが他者のそれより遅いことを気にするつもりはありません。挑戦するのはあくまで自分自身に対してですし、全てのレースにおいて安全に完走・完泳する事が最大の目的です。でも、強くなってゆく自分は嬉しいものですし、仲間とそれを共有できる事がだんだん楽しみになってきました。

 

また自分が一段階レベルをあげたかも?と思えたら、またこんな記事をUpしようと思います。